この形容詞にこんな意味があったとは②

意外な意味の形容詞②

⑫pedestrian=歩行者の?

用例:It was pedestrian every way. Neither the story line nor the performance of the actors was in any way exciting.
(それはあらゆる点でまったくつまらないものだった。物語も俳優の演技も、全くエキサイティングではなかった。)

次に取り上げるのは「pedestrian」という単語です。

pedestrianは、これまでに取り上げてきた単語の中では少し難しい部類に入るかもしれませんが、英語の受験勉強のときなどに、pedestrianは「歩行者の」という意味で記憶された方が多いのではないかと思います。

実際、英語では「歩道」のことをpedestrian walkway、また「横断歩道」のことをpedestrian crossingと呼んでいるように、pedestrianの第一義は「歩行者の」という意味です。

ところが、このpedestrianにも、「歩行者の」という意味からは全く想像できないような重要な意味があるのです。

上記用例はその典型的なものですが、1つヒントを申し上げると、ここで使われているpedestrianと同じ言葉が、その後の文章の中に出てきています。

この文章は、映画とか演劇の批評記事のようですが、2つ目の文章がNeither…nor…was exciting.となっていることからわかるように、どうも否定的な批評になっているようです。

ということは、最初の文章に出てくるpedestrianもあまり良い意味ではなさそうです。

実際、そのとおりで、このpedestrianは「歩行者の」という意味とは全く関係がなく、「つまらない」「退屈な」「平凡な」という意味になるのです。

先ほどpedestrianと同じ意味の言葉が後の文章の中に出てくると言いましたが、まさにこのpedestrianはnot excitingと同じ意味なのです。

ということで、上記用例は、「それはあらゆる点でまったくつまらないものだった。物語も俳優の演技も、全くエキサイティングではなかった」という意味になるわけです。

point
pedestrian=「つまらない」「退屈な」「平凡な」

⑬secular=世俗的な?

用例:There is clear evidence that the recent weakness in the US manufacturing sector is not cyclical but secular.
(最近アメリカの製造業は弱含みになっているが、これは景気循環的なものではなく、長期的なものであることを示す明確な証拠がある。)

次に取り上げるのは、少し難しい「secular」という単語です。

受験勉強のときに英単語の参考書などで見た覚えがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

そして、そのときはおそらく「secular=世俗的な」という意味で頭の中にインプットされたのではないかと思います。

もちろん、そうした理解が間違っているわけではありません。

しかし残念ながら、「secular=世俗的な」という意味だけ覚えていても十分とはいえないのです。

というのも、実際の生きた英語では、secularがこれ以外の意味で使われることがしばしばあるからです。

では、それは一体どういう意味なのでしょうか?

実はこれも、今までにご紹介してきた単語の多くと同じように、「世俗的な」という意味とは全くかけ離れているのです。

上記用例を確認してみましょう。

secular以外にも少し難しい語句がありますので、簡単に補足しておきましょう。

まず、recent weakness in the US manufacturing sectorという部分ですが、これは「アメリカの製造業が最近弱含みになっている」という意味です。

この用例のように、weaknessは経済用語としても非常によく使われる単語です。

それから、cyclicalも経済用語としてよく使われる単語で、「景気が循環的な」という意味です。

ということで、残る難関はsecularだけになりましたが、少なくともここでのsecularが「世俗的な」という意味でないことはお分かりいただけるかと思います。

実は、ここでのsecularは「長期にわたって続く」という意味なのです。

つまり、上記用例は、「最近アメリカの製造業は弱含みになっているが、これは景気循環的なものではなく、長期的なものであることを示す明確な証拠がある」という意味になるわけです。

point
secular=「長期にわたって続く」

⑭acting=活動する?

用例:After Mr. Smith resigned because of the bribery scandal, Ms. Carlson was appointed as acting director of the government agency.
(スミス氏が賄賂スキャンダルで辞任した後、カールソン氏がその政府機関の代理長官に任命された。)

次に取り上げるのは「acting」という単語です。

actingの元の単語であるactが「行動する」「活動する」といった意味であることは、皆さんもよくご存じだと思います。

そのため、「action=行為」「acting=行動する」という理解をされている方が多いのではないでしょうか?

しかし、実際の生きた英語では、actingは「行動する」という意味で使われることは基本的になく、「演技」(名詞)や「演技に関する」(形容詞)といった意味で使われることが多くなっています。

また、形容詞としてのactingには、「演技に関する」という意味以外にも、もう1つ非常に重要な意味があります。

実際、これは、「演技に関する」という意味よりも、はるかに頻繁に使われているものです。

では、上記用例を確認してみましょう。

まず語句から補足しておきますと、resignedは「辞任した」、briberyは「賄賂」という意味です。

それからappointedは「任命された」、またgovernment agencyは「政府機関」という意味です。

さて、用例では、カールソン氏は政府機関のacting directorに任命されたとなっていますが、このacting directorとはどういう意味なのでしょうか?

ここでのacting directorが「演技監督」という意味でないことは、全体の文意からもお分かりいただけるかと思います。

では、このactingはどういう意味なのかといいますと、「演技の」という意味ではなく、「代理の」という意味になるのです。

つまり、上記用例は「スミス氏が賄賂スキャンダルで辞任した後、カールソン氏がその政府機関の代理長官に任命された」という意味になるわけです。

アメリカでは、政府機関などのトップにいる人がスキャンダルなどで辞任すると、その後任人事が決まるまで代理の人間が任命されるのが通例となっています。

そんなときに使われるのが、このactingという単語なのです。

point
acting=「代理の」

⑮sketchy=スケッチ風の?

用例:The police department described the man arrested for theft as having sketchy past.
(警察は窃盗で逮捕したその男が、いかがわしい過去を持っていると述べた。)

「スケッチ」という言葉は「風景などの素描」という意味で日本語にもなっており、今さら説明する必要もないほどです。

ということで、皆さんの多くも、その英語であるsketchの形容詞「sketchy」は「スケッチ風の」とか、「素描の」という意味だと理解されているのではないでしょうか?

しかし、英字新聞や雑誌の記事など実際の生きた英語では、sketchyという単語がそうした「スケッチ風の」といった意味で使われることはまずありません。

では、このsketchyは一体どんな意味で使われているのでしょうか?

まずは、上記用例を確認してみましょう。

念のため、語句について簡単に説明しておきますと、describeは「~と言い表す」「~と特徴づける」という意味で、the man arrested for theftは「窃盗で逮捕された男」という意味になります。

つまり、文章としては、警察がある男を窃盗で逮捕し、その男のことをhaving sketchy pastであると述べたということのようです。

では、このsketchy pastとは、一体どういう意味なのでしょうか?

正解を申し上げますと、このsketchyは「スケッチ風の」といった意味ではなく、「いかがわしい」「疑わしい」「不満な」「評判の悪い」といった意味なのです。

したがって、上記用例は、「警察は窃盗で逮捕したその男が、いかがわしい過去を持っていると述べた」という意味になるわけです。

それにしても、なぜ「スケッチ風の」という意味から「いかがわしい」「疑わしい」という意味になったのでしょうか?

これについては、はっきりしたことは分かりませんが、「スケッチ」が素描であるため全体像がはっきりつかめず、そこから「素性がはっきりしない」「いかがわしい」という意味が派生したのではないかと思われます。

point
sketchy=「いかがわしい」「疑わしい」「不満な」「評判の悪い」

⑯foreign=外国の?

用例:Some peoples still believe that soccer is fundamentally foreign to Americans and will never catch on in the United States.
(アメリカ人にとってサッカーは基本的になじまないもので、決して流行ることはないだろうと考えている人が今でもいる。)

いまや日本にも毎年3000万人前後の外国人観光客が来るようになり、東京や大阪などの大都市、さらには京都や神戸などの観光地では非常に多くの外国人観光客の姿が見られるようになりました。

こうした「外国人観光客」のことを英語ではforeign touristsと呼ぶように、皆さんも「foreign」という単語は「外国の」という意味であると理解されている方が多いのではないかと思います。

もちろん、そうしたご理解で基本的には問題ないのですがforeignにはそれ以外に、もう1つ重要な意味があるのです。

しかも、実際の生きた英語では、そのもう1つの意味が大変よく使われているのです。

もっとも、別の意味があるとはいっても、それは「外国の」という意味からある程度類推できます。

これまで取り上げてきた英単語は、皆さんがよくご存じの第1の意味と、これまでご紹介してきた第2の意味との間にあまりにも大きなギャップがあったため、第2の意味を類推することは難しかったかと思います。

しかしながら、このforeignについては、第1の意味と第2の意味の間に、ある程度の関連があるため、比較的類推しやすいかもしれません。

では、上記用例中のforeignはどんな意味になるのか、ぜひ類推してみてください。

実は、このforeignには「外国の」という第1の意味から派生した「異質な」「なじまない」というもう1つの意味があるのです。

というわけで、上記用例は、「アメリカ人にとってサッカーは基本的になじまないもので、決して流行ることはないだろうと考えている人が今でもいる」という意味になります。

どこの国の人にとっても、「外国の」ものというのは、人でも物でも文化でも、やはり自分たちの者とは基本的に「異質」であり、すぐには「なじまない」ところがあります。

そうしたことから、foreignにもこのような第2の意味が派生したのではないかと思われます。

point
foreign=「異質な」「なじまない」

⑰stiff=硬い?

用例:I am going to have a stiff drink tonight, hoping that everything will be back to normal.
(すべては正常に戻ることを期待して、今夜は私は強いお酒を飲むつもりだ。)

次は、「stiff」という単語を取り上げます。

これにはいろんな意味があって、なかなか手強い単語です。

皆さんの中にも肩こりの方がいらっしゃると思いますが、そんな肩こりのことを、英語ではstiff shoulderと言います

ということで、「stiff=硬い」と覚えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?

先ほども申し上げましたように、stiffには様々な意味がありますが、そんな中でも特に重要なもう1つの意味をここでご紹介したいと思います。

では、それがどんな意味として使われているか、まず上記用例を確認してみましょう。

用例中の語句で特に難しいものはないと思いますが、1つだけ書いておきますと、back to normalというのは「正常に戻る」という意味です。

さて、問題になるのはstiff drinkの部分ですが、いったいこれはどういう意味でしょうか?

実はこれはあまり難しく考える必要はなく、「強いお酒」という意味なのです。

つまり、このstiffは「強い」という意味で、strongと基本的には同じ意味です。

したがって、上記用例は、「すべては正常に戻ることを期待して、今夜は私は強いお酒を飲むつもりだ」という意味になるわけです。

stiffの他の意味を見てみましょう。

「値段が法外に高い」(stiff price)とか「競争が激しい」(stiff competition)などといった表現にもstiffが使われます

また、stiff withはfull ofと同じで、「~でいっぱいになっている」という意味になりますし、scared stiffという表現のように、「大いに」(very much)という意味を強調する副詞としても使われています。

point
stiff=「強い」「~でいっぱいになっている(with)」「大いに」

⑱shy=恥ずかしがりの?

用例:Mr. Smith, a beloved businessman, passed away suddenly, but peacefully last Friday, a month shy of his 95th birthday.
(誰からも愛されたビジネスマンであったスミス氏は、95歳の誕生日の1か月前である先週金曜日に、突然のことではあったが、安らかに亡くなった。)

私たちは、周りにあまり積極的に発言しない、おとなしそうな人がいると、「あの人はシャイな人だ」などと言ったりします。

このように、私たちが「シャイな人」と言うときは、その人は「恥ずかしがり屋」だということを意味しています。

ところが、「shy」について「恥ずかしがりの」という意味しか知らないと、実際の生きた英語では対応できない場合がしばしば出てきます。

むしろ、shyという単語は「恥ずかしがりの」という意味で出てくる方が少ないくらいで、これからご紹介する第2の意味の方がよほど多く使われています。

では、shyはどんな意味として使われているのでしょうか?

まずは、いつものように上記用例を確認してみましょう。

語句の中で1つだけ先に説明しておきますと、pass awayというのは「亡くなる」「死亡する」ということで、dieと同じ意味です。

ただし、dieは「死ぬ」という直接的な語感が強すぎるため、より婉曲的な表現であるpass awayの方が好まれる傾向があります。

さて、用例の文章の主語であるスミス氏は95歳の誕生日あたりで亡くなられたようですが、a month shy of his 95th birthdayとはどういう意味なのでしょうか?

ここでのshyが「恥ずかしがりの」という意味ではないことは明らかですよね。

もうお分かりの方もいるかもしれませんが、実はこのshyはshy ofという形で足りない」「不足して」という意味なのです。

つまり、a month shy of his 95th birthdayとは、「彼の95歳の誕生日の1か月前」という意味になるわけです。

というわけで、上記用例は「誰からも愛されたビジネスマンであったスミス氏は、95歳の誕生日の1か月前である先週金曜日に、突然のことではあったが、安らかに亡くなった」という意味になります。

point
shy of=「足りない」「不足して」

⑲liberal=リベラルな?

用例:She applied a liberal amount of cream directly to the dark spot and massaged into skin.
(彼女はクリームをたっぷり直接黒くなった箇所に塗って、肌にしみ込むようにマッサージした。)

日本語の「リベラル」という言葉には、「自由で進歩主義的な」という意味があり、好ましい語感があるように思います。

英語の「liberal」の意味も、基本的には日本語とほぼ同じだと言えます。

しかしながら、日本語の「リベラル」には、基本的に「自由で進歩的な」という1つの意味しかないのに対して、英語のliberalにはそれ以外にも、よく使われる重要な意味があります。

では、実際にどのような文脈でこのliberalという単語が使われているのか、上記用例を確認してみましょう。

特に難しい語句はないと思いますが、文章の最初に出てくる動詞applyについて一言だけ述べておきますと、ここでのapplyは、皆さんがよくご存じの「適用する」という意味ではなく、「~を塗る」という意味になります。

そうすると、おおよその文意としては、「彼女はクリームを黒くなった箇所に塗った」ということになりそうですが、問題はa liberal amount of creamという部分の意味をどう理解するかです。

察しのよい方はもうお分かりになったかもしれませんが、実はここでのliberalというのは、「気前のよい」「たっぷりの」という意味なのです。

他の英語で言えば、abundant、plentiful、ampleなどがその類義語になります。

ということで、上記用例は、「彼女はクリームをたっぷり直接黒くなった箇所に塗って、肌にしみ込むようにマッサージした」という意味になるわけです。

point
liberal=「気前のよい」「たっぷりの」

⑳sick=病気の?

用例:After eating catered food at the wedding party, some people suddenly felt sick and started vomiting.
(結婚式の会場で配達された料理を食べたところ、突然、一部の人が気分が悪くなり、嘔吐しだした。)

次に取り上げるのは、「sick」という単語です。

sickは中学生時代に学習する基本単語の1つであり、皆さんも「病気の」という意味で覚えていらっしゃるかと思います。

たしかに、sickは実際の英語でも「病気の」という意味で使われることが多いのですが、sickにはその第1の意味と同程度、あるいはそれ以上に使われる、もう1つの重要な第2の意味があるのです。

では、どういう意味で使われているのか、まずは上記用例を確認してみましょう。

まず、その意味についてヒントを1つ差し上げるとするとすれば、それは「病気の」症状の1つ(いつもこの症状が現れるわけではありませんが)と言うことができます。

では、その病気の症状とは、一体何でしょうか?

まず、文中の語句について補足しておきますと、catered foodとは「宅配された食べ物」いわゆる「デリバリーフード」のことです。

それから、vomitingとは「吐く」「嘔吐する」という意味です。

文章の概要としては、結婚式の会場で食べたものにあたって、一部の人が嘔吐したということのようです。

文中のfelt sickは「病気になった」という解釈でも全体の意味は通じるように思えるかもしれませんが、この場合のsickは、より具体的な病気の症状を表しているのです。

実は、このsickは単に「病気になる」という意味ではなく、「吐き気がする」「むかつく」という、より具体的な症状を意味しているのです。

felt sickのすぐ後ろにstarted vomiting(嘔吐し始める)とありますが、まさにこれと同じ意味なのです。

実際、英語ではこの例のように、同じ意味のことを違った単語を使って表現することがよくあります。

というわけで、上記用例は、「結婚式の会場で配達された料理を食べたところ、突然、一部の人が気分が悪くなり、嘔吐しだした」という意味になるわけです。

point
sick=「吐き気がする」「むかつく」

㉑smart=頭がいい?

用例:The police are still smarting from their failure to prevent the robbery at the bank.
(警察は銀行強盗を防げなかったことを、今でも苦痛に感じている。)

ここまで、皆さんがよくご存じの形容詞の中で、その思いもよらない別の意味で使われている単語の数々を紹介してきました。

今回紹介する思いもよらない意味の形容詞もあと2つとなりましたが、以降ご紹介する2つの単語は、基本的には形容詞としての性格が強いのですが、動詞として使われることも非常に多くなっているものです。

そういった単語として、まず最初に取り上げるのは「smart」です。

smartについては、「スマート」というカタカナとして大変よく使われており、今や日本語の一部になっています。

なお日本語では、以前の「スマート」はもっぱら人の体型について形容する言葉でしたが、今では、英語の原義と同じように、「頭がいい」という意味でも使われるようになっています。

このように、smartは私たち日本人にとっても大変身近でなじみ深い言葉です。

しかし、このsmartに動詞としての意味があり、しかもそれが実際の生きた英語でも大変よく使われているということはあまり知られていないのではないでしょうか。

では、smartには動詞として、一体どんな意味があるのでしょうか?

いつものように、まずは上記用例を確認してみましょう。

特に難しい語句はなさそうですが、念のため1つだけ簡単に説明しておきますと、failure to preventは「~を防ぐことに失敗する」つまり「~を防ぐことができない」という意味です。

用例では、警察が銀行強盗を防げなかったために、いまだにsmartしていると書いてあるのですが、これは一体どういう意味なのでしょうか?

正解を申し上げますと、実はこのsmartは「スマート」だとか「頭がいい」などという意味とはまったく関係がなく、「精神的苦痛を受ける」「体が痛む」という意味なのです。

ということで、上記用例は「警察は銀行強盗を防げなかったことを、今でも苦痛に感じている」という意味になるわけです。

point
smart=「精神的苦痛を受ける」「体が痛む」

㉒frequent=頻繁な?

用例:The restaurant in Chinatown is frequented by seniors, and there are elevators and escalators for their convenience.
(チャイナタウンにあるそのレストランには、高齢者の便宜を図るエレベーターやエスカレーターが設置されていることもあり、高齢者がしばしば訪れている。)

本項の最後を飾る単語として取り上げるのは「frequent」です。

最近では、どの航空会社もポイントがたまり、それを航空券や商品と交換できるマイレージサービスを提供していますが、そんなマイレージサービスのことを、英語ではfrequent flyer serviceと呼んでいます

皆さんも、frequentという単語については、「しばしば」とか「頻繁な」という意味の形容詞として覚えておられる方が多いと思います。

しかし、実際の英語では、frequentはそうした形容詞としてだけではなく、まさに「しばしば」動詞としても使われているのです。

では、frequentは、一体どのような意味の動詞として使われているのでしょうか?

まずは、上記用例を確認していただきたいと思いますが、実はこのfrequentの動詞の意味の中にも、「しばしば」という形容詞の意味が色濃く反映されているのです。

まず語句の方から簡単に説明しておきますと、seniorとは最近日本でもそう呼ばれるようになりましたが「高齢者」のことです。

それから、for their convenienceというのは、「彼ら(高齢者)の便宜を図るために」という意味です。

あとは特に説明を要するような語句はないと思いますが、難関はis frequentedという部分です。

先ほど、このfrequentには「しばしば」という原義が色濃く残っていると言いましたが、お分かりになりましたでしょうか?

実は、このfrequentには「~をしばしば訪れる」「~に足しげく通う」という動詞としての意味があるのです。

ということで、上記用例の意味は、「チャイナタウンにあるそのレストランには、高齢者の便宜を図るエレベーターやエスカレーターが設置されていることもあり、高齢者がしばしば訪れている」ということになるわけです。

point
frequent=「~をしばしば訪れる」「~に足しげく通う」

この名詞にこんな意味があったとは①に続く

この形容詞にこんな意味があったとは①

本項では、皆さんがよくご存じの英語の形容詞のうち、皆さんが覚えておられる意味とはまったく違った意味で用いられ、しかも英米人の日常会話だけでなく、英字新聞や雑誌記事などでも非常によく使われている形容詞をご紹介していきたいと思います。

意外な意味の形容詞①

①wholesale=卸売り?

用例:Soon after he became CEO of the company, he began to preside over a wholesale revamp of the company’s operations.
(彼はCEOに就任した後すぐ、会社業務に関する大規模な改革に着手した。)

最初にご紹介するのは「wholesale」という形容詞です。

最近は日本でも、コストコなどが運営する会員制のディスカウントショップが「ホールセールクラブ」と呼ばれて各所にできています。

そうした影響もあり、多くの方は「wholesale=卸売り」という理解をされているのではないかと思います。

もちろん、英語でもwholesaleは「卸売り」という意味で使われています。

しかし、英米の新聞や雑誌では、それとはまったく違った意味で用いられることの方が多くなっているのです。

それでは、一体wholesaleはどんな意味の形容詞として使われているのでしょうか?

上記用例を確認してみましょう。

最初に、用例中の語句について、簡単に補足説明しておきましょう。

まず、preside overですが、これは「主宰する」とか「統括する」という意味です。

それから、revampは「改革」あるいは「改良」のことで、「改革する」という動詞としても使われます

さて、あと残る問題はwholesaleをどう訳すかです。

このwholesaleを通常の「卸売り」と訳して、その部分を「会社の卸売り部門の改革」と訳してもそれで意味が通るように思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら、それは正解ではありません。

実は、ここで使われているwholesaleは「大規模な」あるいは「全面的な」という意味なのです。

別の英語で言うと、large scale、extensive、widespread、wide rangingなどがその類義語になります。

つまり、上記用例は、「彼はCEOに就任した後すぐ、会社業務に関する大規模な改革に着手した」という意味になるわけです。

point
wholesale=「大規模な」「全面的な」

②measured=計った?

用例:The present crisis in the region does not pose a direct threat to our country and therefore our response should be measured.
(その地域における現在の危機的状況は、我が国に直接的な脅威を与えるものではないので、その対応は慎重にすべきだ。)

次に取り上げるのは、「measured」という形容詞です。

measuredについては、「measure=計る」という意味から連想して、どうしても「計った」とか「計算された」といった意味として理解しがちです。

もちろん、それは必ずしも間違いではなく、measuredがそのような意味で用いられることもあります。

しかし、measuredには、そうした意味よりもはるかに高い頻度で用いられる意味があるのです。

上記用例は、その典型的な使われ方です。

まず、語句の説明からしておきますと、present crisisというのは「現在の危機」という意味で、pose a direct threatは「直接的な脅威になる」という意味です。

なお、poseについては、日本語の発想から、「ポーズをとる」という意味に解釈されたかもしれませんが、このposeはそういう意味ではなく、「(問題などを)引き起こす」という意味になります。

それから、measuredの前に出てくるresponseは「対応」という意味です

さて、ここまで分かれば、後は文章の最後に出てくるmeasuredの意味をどう解釈するかです。

正解を申し上げますと、このmeasuredは「慎重な」「抑制した」という意味なのです。

他の英語で言えば、careful、claim、deliberateなどがそれに近い類義語になります。

ということで、上記用例は、「その地域における現在の危機的状況は、我が国に直接的な脅威を与えるものではないので、その対応は慎重にすべきだ」という意味になるわけです。

measureの訳語である「計る」という意味からの類推だけでは、measuredに「慎重な」という意味があることは思いつきにくいかもしれません。

しかし、これは英字新聞や雑誌だけでなく、ネイティブスピーカーの日常会話の中でも非常によく使われる意味ですので、ぜひこの機会に覚えていただければと思います。

point
measured=「慎重な」「抑制した」

③qualified=資格がある?

用例:The Republican Party has historically been the bastion of support for US-Japan relationship, but that support is more qualified because of the trade tensions between the two countries.
(共和党は歴史的に日米関係の拠り所であったが、両国間の貿易摩擦のため、今や共和党のサポートはより制限されたものとなっている。)

次に取り上げるのは、「qualified」です。

これも皆さんの思いもよらないような意味の形容詞として頻繁に使われている単語です。

おそらく、皆さんの中には、qualifiedという単語は、その原型であるqualifyの意味から連想して、「資格がある」という意味だと理解されている方が多いと思います。

実は、私も以前はそうで、長い間、「qualified=資格がある」という意味だと思いこんでいました。

ところが、ある時ニューヨークタイムズを読んでいるとこのqualifiedという単語が出てきたのですが、「資格がある」という訳ではどう考えても意味が通らないのです。

そこでいろいろ辞書を調べて、初めてqualifiedにそれ以外の極めて重要な意味があることを発見したのでした。

では、qualifiedには「資格がある」という意味以外に、一体どのような意味があるのでしょうか?

多少難しい語句があるかもしれませんので、それから先にご説明しておきましょう。

まず、Republican Partyというのは「共和党」のことで、bastionというのは「砦」「拠り所」「拠点」という意味です。

それから、trade tensionsは「貿易摩擦」のことです。

そうすると、残る問題はthat support is more qualifiedという部分ですが、特にqualifiedはどう訳すかが最大の問題です。

ここではどう考えても、「資格がある」という意味ではなさそうです。

正解を申し上げますと、実はこのqualifiedは「限定された」「条件付きの」という意味なのです。

つまり、上記用例は、「共和党は歴史的に日米関係の拠り所であったが、両国間の貿易摩擦のため、今や共和党のサポートはより制限されたものとなっている」という意味になるわけです。

このように、qualifiedには「資格がある」と「限定された」という2つの意味があるのですが、どちらの意味も同じ程度によく使われていますので、その時の文脈で意味を判断するようにしてください。

point
qualified=「限定された」「条件付きの」

④categorical=カテゴリーの?

用例:The military officers were categorical in saying that they were not attempting to overthrow the government.
(将校たちは、自分たちには政府を転覆するような考えはまったくなかったと言った。)

次に取り上げるのは「categorical」という単語ですが、これもなかなかトリッキーな単語です。

というのも、categoryという単語が「範疇」や「分野」を意味する「カテゴリー」という日本語として定着しているため、その形容詞であるcategoricalも「カテゴリー」の延長線上の意味で考える方が多いからです。

もちろん、categoricalは「範疇の」「分野の」といったcategoryの原義を反映した形容詞としても使われています。

しかし、それよりもcategoricalがより頻繁に使われているのは、それとはまったく違った意味としてなのです。

では、それがいったいどういう意味で使われているか、まずは上記用例を確認してみましょう。

あまり難しい語句はないと思いますが、念のために補足しておきますと、まずmilitary officersとは「将校」のことです。

それから、overthrow the governmentとは「政府を転覆させる」という意味です。

それでは、文章の冒頭に書かれている、将校たちはcategoricalだったというのは、一体どういう意味なのでしょうか?

正解を申し上げますと、このcategoricalは「断定的な」「明確な」「絶対的な」といった意味なのです。

なお、前項でqualified(限定された)という単語を取り上げましたが、それを否定形のunqualifiedにすると、それは「限定されていない」「条件つきではない」という意味になり、このcategoricalと非常に近い意味になります。

このように、categoricalには「強い断定」の意味がありますので、上記用例は「将校たちは、自分たちには政府を転覆するような考えはまったくなかったと言った」という意味になるわけです。

なお蛇足ですが、categoricalは形容詞として使われるよりも、例えばdeny categorically(明確に否定する)のように、副詞として使われることの方が多くなっていますので、これも頭の片隅に置いておいていただければと思います。

point
categorical=「断定的な」「明確な」「絶対的な」

⑤handsome=ハンサム?

用例:The former president sold the rights to his memoirs for a handsome sum to the publisher.
(前大統領は出版社に対して、彼の回顧録を出版する権利を相当な金額で売った。)

次に取り上げるのは「handsome」という単語です。

これはすでに「ハンサム」という日本語としても定着しており、特に男性が整った顔立ちをしていること、いわゆる「男前」「イケメン」という意味で広く一般的に使われています。

英語でも、handsomeの基本的な意味はgood lookingということで、日本語の「ハンサム」の使い方とそう大きな違いがあるわけではありません。

ただ、そうは言っても、全く違いがないわけでもありません。

例えば、日本語の「ハンサム」とは違って、英語のhandsomeの場合は、女性にも、また物に対しても使うことができます

つまり、英語ではa handsome womanやa handsome buildingなどという言い方が可能なわけです。

このように、日本語の「ハンサム」と英語のhandsomeの間には使い方の点で多少の違いがあります。

こうした一般的意味のほかに、英語のhandsomeには皆さんがなかなか思いつかない、もう1つの重要な意味があるのです。

では、それは一体どんな意味で使われるのか、その用例を確認してみましょう。

いつものように、語句の補足説明を少ししておきますと、まずrightは「権利」という意味で、memoirsは「回顧録」、そしてpublisherは「出版社」という意味です。

ここまで書くと、だいたいの文意はご理解いただけるかと思いますが、用例の内容は前大統領が大統領時代の回顧録の権利を売ったということのようです。

では、その出版の権利をどれくらいの金額で売ったのでしょうか?

用例によると、それはfor a handsome sumだったということですが、「ハンサムな金額」とはどういう意味なのでしょうか?

実は、handsomeには「ハンサム」という意味以外に、金額などが「かなりの」「相当な」という、もう1つの非常によく使われる意味があるのです。

ということで、上記用例は、「前大統領は出版社に対して、彼の回顧録を出版する権利を相当な金額で売った」という意味になるわけです。

point
handsome=「かなりの」「相当な」

⑥obscene=わいせつな?

用例:The obscene inequalities of wealth dividing the rich and the poor must be addressed.
(富者と貧者を隔てる過剰なほどの富の不平等問題に対処しなければならない。)

次は、「obscene」です。

おそらく、皆さんの多くは、受験勉強のときに「obscene=わいせつな」という意味で覚えたのではないでしょうか?

また、obsceneの名詞形であるobscenityを複数形にしたobscenitiesが「わいせつな言葉」という意味であることもご存知かもしれません。

しかし、このobsceneには、これ以外にも、ちょっと想像がつきにくい重要な意味があるのです。

上記用例中にあるobsceneなどは、まさにその典型的な使われ方といえます。

用例をお読みいただければ、ここでのobsceneが「わいせつな」という意味で使われていないことはお分かりいただけるのではないかと思います。

では、それに替わるどんな訳を当てはめればいいのでしょうか?

まず、用例中にある、inequalities of wealthというのは「富の不平等」という意味で、その後のdividing the rich and the poor(富者と貧者を隔てる)がそれを後ろから修飾しています。

つまり、inequalities of wealth dividing the rich and the poorというのは、「富者と貧者を隔てる富の不平等」という意味になるわけです。

また、最後のaddressについては、以前に取り上げましたが、「(問題などに)対処する」という意味でしたね。

ここまでの意味も分かると、文章のおおよその意味は理解できるのではないかと思いますが、問題は文章の最初に出てくるobsceneがどういう意味かということです。

ただ、全体の文意から、またobsceneが「わいせつな」という意味も持っていることから、少なくともあまり良い意味で使われていないことだけは、なんとなくお分かりいただけるのではないでしょうか。

実際、その通りで、このobsceneには「吐き気を催すほど過剰な」「法外な」「常識から外れた」などという意味があるのです。

別の英語では、outrageous、scandalous、offensive、repulsiveなどがその類義語になります。

というわけで、上記用例は、「富者と貧者を隔てる過剰なほどの富の不平等問題に対処しなければならない」という意味になるわけです。

なお、このobsceneについては、破格の高額報酬を得ているアメリカの企業経営者を批判するときなどにも、obscene compensationなどという表現として新聞や雑誌の中によく出てきます。

一部のアメリカの企業経営者は何十億円という破格の高額報酬を得ていますが、そうした高額報酬は、「吐き気を催すほど過剰」で、「常識から外れた」、「法外な」ものでありますので、まさにこれをobsceneと呼ぶのはぴったりだと言えるでしょう。

point
obscene=「吐き気を催すほど過剰な」「法外な」「常識から外れた」

⑦tentative=仮の?

用例:It is very interesting that experts are more persuasive when they are tentative about their conclusions.
(専門家は自らの主張の結論に自信なさげなときのほうが、より説得力が増すというのは大変興味深いことだ。)

商社マンの会話では、よく「テンタティブ」という単語を使います。

例えば、面談や会食の約束をするときなど、自分と相手の都合が一度に合えば問題ないのですが、必ずしもそんなときばかりではありません。

今は予定が入る可能性があるけれど、その予定がなくなる可能性もあるという日もあります。

そんなとき、とりあえず仮に、その日に面談あるいは会食することにしておきましょうという意味で、「テンタティブに日程を決めておく」というような言い方をするわけです。

実際に使われている英語でも、「tentative」の第一義は、「仮の」「一時的な」「暫定的な」ということですので、こうしたビジネスの現場におけるtentativeの使い方は正しいと言えます。

しかしながら、tentativeにはこうした「仮の」「暫定的な」という意味のほかに、もう1つ非常によく使われる重要な意味があります。

では、それは一体どんな意味なのでしょうか?

上記用例を見てみましょう。

用例中のpersuasiveは「説得力がある」という意味で、conclusionは「結論」という意味です。

したがって全体の意味は、「専門家は自らの主張の結論に対してtentativeであるとき、より説得力がある」ということになるのですが、自らの主張にtentativeであるとは一体どういう意味なのでしょうか?

実は、このtentativeには「ためらいがちな」「自信なさげな」「躊躇する」という意味があるのです。

別の英語では、hesitantやcautiousなどがその類義語といえるでしょう。

つまり、上記用例は「専門家は自らの主張の結論に自信なさげなときのほうが、より説得力が増すというのは大変興味深いことだ」という意味になるわけです。

point
tentative=「ためらいがちな」「自信なさげな」「躊躇する」

⑧pregnant=妊娠している?

用例:You may not be pregnant with an actual baby, but you are pregnant with a lot of original ideas.
(あなたは実際の赤ちゃんは宿していないかもしれないが、多くのオリジナルアイデアでいっぱいだ。)

次は、「pregnant」という単語を取り上げます。

pregnantという単語を見れば、おそらく十中八九は「妊娠している」という意味を思い浮かべるのではないでしょうか?

実際、この単語は、元々ラテン語のpraegnasciに由来すると言われています。

praeは「前に」(before)、そしてgnasciは「生まれる」(born)という意味です。

つまり、pregnantの原義は「生まれる前」の段階ということであり、そこから「妊娠している」ということを意味するようになったのです。

というわけで、「pregnant=妊娠している」という理解は基本的に正しいのですが、pregnantには「妊娠している」という意味の他にも、もう1つよく使われる意味があります。

上記用例では、pregnantは2回出てきますが、それぞれ別の意味として使われています。

それぞれpregnantがどういう意味で使われているか、少し考えてみてください。

上記のとおり、用例にはpregnantが2回出てきますが、最初に出てくるpregnantには、その後にwith an actual babyとありますから、こちらの方がpregnantの一般的な意味である「妊娠している」という意味であることが分かりますね。

そうなると、2番目に出てくるpregnantが一般的ではない意味になってくるわけですが、「多くのオリジナルアイデア」をpregnantしているとは、いったいどういう意味なのでしょうか?

実は、このpregnantは「~で満ちている」という意味なのです。

別の言葉で言えば、fullと同じ意味になります。

つまり、上記用例は、「あなたは実際の赤ちゃんは宿していないかもしれないが、多くのオリジナルアイデアでいっぱいだ」という意味になるわけです。

考えてみれば、「妊娠している」という状態は、「赤ちゃん出お腹が満たされている」ということですから、pregnantに「妊娠している」と「満たされている」の2つの意味があってもおかしくないのかもしれませんね。

point
pregnant=「~で満ちている」

⑨philosophical=哲学的な?

用例:She drew a lot of criticism about her performance at the theater, but she tried to be philosophical about it.
(彼女は劇場での演技について多くの批判を受けたが、それについては冷静に淡々と受け止めようとしていた。)

昔も今も、日本には哲学好きな人が大勢います。

最近もビジネスパーソンの間で「哲学ブーム」がみられますが、大正や昭和初期の教養主義全盛時代には、カントやハーゲルといったドイツ哲学が一世を風靡しました。

戦後になってからは、戦前に流行った同一哲学に変わって、フーコー、サルトル、デリダ、レビナスなどに代表される現代フランス哲学が人気を博すようになり今でもファンが大勢います。

ただ、哲学は生と死などの人間存在の問題、さらには事物の根源のあり方の問題などを考察の対象とするため、一般には、哲学は難しい、固い、概念的であるといったイメージがあるように思います。

そんな難しいイメージのある哲学のことを、英語では「philosophy」といい、その形容詞がphilosophicalであることは、皆さんもよくご存じのことと思います。

では、英語のphilosophicalは「哲学的な」という意味かというと、実はそれだけでなく、そのほかにもう1つ、非常によく使われる重要な意味があるのです。

上記用例は、そうしたphilosophicalの典型的な使われ方です。

文中の「彼女」は「劇場で彼女が行った演技」(her performance at the theater)について「多くの批判を受けた」(drew a lot of criticism)ということですから、彼女は舞台女優をしているのかもしれません。

そんな彼女が、そうした批判にphilosophicalであろうとしたとは、いったいどういう意味でしょうか?

実は、このphilosophicalには「淡々とした」「達観した」という意味があり、「哲学的な」という意味以上に非常によく使われています。

というわけで、上記用例は「彼女は劇場での演技について多くの批判を受けたが、それについては冷静に淡々と受け止めようとしていた」という意味になるわけです。

確かに、女優業をしていれば、ほめられることも批判されることもあるわけですから、哲学者のように、いつも「冷静に淡々と」受け止めるというのは正解なのかもしれませんね。

point
philosophical=「淡々とした」「達観した」

⑩partial=部分的な?

用例:I am partial to the in-depth analysis of the New York Times, but I am well aware that a lot of people don’t like the Times.
(私はニューヨークタイムズの掘り下げた分析記事が大変好きだが、ニューヨークタイムズで嫌いな人が大勢いることもよく知っている。)

次に取り上げるのは「partial」という単語です。

言うまでもなく、partialは「部分」を意味するpartの形容詞形ですから、皆さんもpartialは「部分的な」という意味で覚えていらっしゃると思います。

実際、すでに日本語でも「パーシャル」という言葉は、冷蔵庫についている微凍結保存機能として広く知られていますし、また、ハワイなどのホテルで部分的に海が見える部屋のことを「パーシャル・ビュー」と呼んでいることも、旅行好きの方ならよくご存じだと思います。

このように、「部分的な」という意味でのpartialは、今やほぼ日本語になっていると言っても過言ではありません。

ところが、こうした理解では必ずしも十分ではないのです。

実はpartialには「部分的な」という意味以外に、もう1つ非常に重要な意味があるのです。

では、上記用例を確認してみましょう。

いつものように、まず、語句について簡単に補足しておきますと、in depthとは「深く掘り下げた」という意味で、analysisは「分析」のことです。

また、well awareとは「よく知っている」という意味です。

ということで、残る難関はpartialの部分だけになりますが、少なくとも、この用例ではpartialが「部分的な」という一般的な意味では使われていないことは、文章全体からもお分かりいただけるかと思います。

実際、その通りで、この用例のように、partialは通常partial toという形で、「~を偏愛している」「~をとても好きな」という意味になるのです。

ということで、上記用例は、「私はニューヨークタイムズの掘り下げた分析記事が大変好きだが、ニューヨークタイムズで嫌いな人が大勢いることもよく知っている」という意味になるわけです。

point
partial to=「~を偏愛している」「~をとても好きな」

⑪outstanding=傑出した?

用例:He tried to renegotiate the interest rates on an outstanding payment, but the bank refused it.
(彼はまだ支払っていない借金の金利について再交渉しようとしたが、銀行はそれを拒否した。)

トランプ大統領のキャッチフレーズといえば「Make America Great Again」ですが、これによってgreatという言葉は、日本の小学生でも知っているぐらい一躍有名になりました。

そんなgreatに近い褒め言葉の1つに、「outstanding」があります。

これについては、皆さんも「傑出した」「飛び抜けた」「極めて優秀な」などといった意味で覚えていらっしゃる方が多いのではないかと思います。

実際、そのとおりで、outstandingはそうした意味で用いられることが多いのですが、それ以外に、もう1つ皆さんに覚えておいていただきたい重要な意味があります。

では、それがどんな意味なのか、まずは上記用例をお読みください。

文章中に特に難しい語句はないと思いますが、念のために書いておきますと、renegotiateは「再交渉する」こと、また、interest ratesとは「金利」のことです。

「彼」は金利について再交渉したようですが、それはoutstanding paymentの金利についてだと書いてあります。

では、一体このoutstanding paymentとは何のことでしょうか?

もうお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、このoutstandingは「傑出した」という意味ではなく、「未払いの」「未処理の」という意味なのです。

「傑出した」という非常に良い意味からは想像しにくいのですが、ここではそれとはまったく違った悪い意味で使われているのです。

ということで、上記用例は、「彼はまだ支払っていない借金の金利について再交渉しようとしたが、銀行はそれを拒否した」という意味になるわけです。

point
outstanding=「未払いの」「未処理の」

この形容詞にこんな意味があったとは②に続く

この名詞にこんな動詞の意味があったとは②

意外な動詞の意味を持つの名詞②

⑬root=根?

用例:From the first pitch to the final home run of the season, nothing delighted the baseball buff more than to root, root, root for his home team.
(シーズンが始まって第一球からシーズン最後のホームランまで、熱狂的な野球ファンにとってホームチームを応援することほどうれしいことはなかった。)

次は「root」という名詞を取り上げたいと思います。

rootといえば、おそらくたいていの方は「根」とか「根本」などという日本語を思い浮かべるのではないでしょうか。

あるいは、rootという言葉を聴けば、少し昔の話になりますが、親子3代の黒人奴隷の苦闘を書いた、アレックス・ヘイリーの『ルーツ』という小説を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。

実際、この小説の題名の『ルーツ』(Roots)は「先祖」や「祖先」という意味であり、「根」という意味と深い関連があります。

また、ビジネスに携わっている方の中には、物事の「根本原因」を表すroot causeという言葉があることをお聞きになった方もいらっしゃるかもしれません。

いずれにせよ、多くの方は、rootをこうした「根」や「根本」という意味の言葉として覚えていらっしゃるのではないかと思います。

ところが、実際の英語でrootが使われるのは、こうした「根」や「根本」という名詞としてではなく、動詞として使われることの方がはるかに多いのです。

では、どのような意味になるのでしょうか?

上記用例が野球に関するものであることはお分かりいただけるかと思いますが、問題はroot for his home teamをどう訳すかということです。

実は、このrootは、その後にforを伴って
root forという形になると、~を応援する」という意味になるのです。

つまり上記用例は、「シーズンが始まって第一球からシーズン最後のホームランまで、熱狂的な野球ファンにとってホームチームを応援することほどうれしいことはなかった」という意味になるわけです。

なお、大リーグファンの方はお気付きになったかもしれませんが、実は用例中に出てくるroot, root, root for his home teamというのは、大リーグの試合でよく歌われる「Take me out to the ball game」という大変有名な歌の歌詞の一節なのです。

相手チームの7回表の攻撃が終了し、これからホームチームが7回裏の攻撃に入る、そのインターバル(7th inning stretch)の間に、球場の観客が一体となってホームチームを応援するのがこの歌です。

point
root for=「~を応援する」

⑭comb=くし?

用例:I spent most of yesterday combing through the want ads and making phone calls to get a job.
(私は昨日のほとんどを、求人広告をくまなく探し、電話をかけて職を見つけることに費やした。)

次に取り上げるのは「comb」という単語です。

この単語については、皆さんは整髪用の「くし」という意味で理解されている方が多いのではないかと思います。

もっとも、最近日本でも「くし」のことを「コーム」と呼ぶこともありますので、「comb=くし」というのは今や常識になっているのかもしれません。

このように、combはある意味、すでに日本語となって多くの日本人に使われているのですが、実際の英語ではこれが動詞として使われており、しかもそれが「くし」という名詞以上に頻繁に使われているということをご存知の方は意外に少ないのではないかと思います。

では、combはどのような意味の動詞として使われているのでしょうか?

上記用例では、combing through the want adsとして出てきていますが、want adsとは「求人広告」のことです。

では、「求人広告」をcomb throughするとはいったいどういう意味なのでしょうか?

もうお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、これは「~を徹底的に探す」「~を細かく調べる」「~を精査する」という意味なのです。

つまり、上記用例は、「私は昨日のほとんどを、求人広告をくまなく探し、電話をかけて職を見つけることに費やした」という意味になるわけです。

なお、海岸などに漂着した珍しいものや貴重なものを収集する人のことをbeachcomberと呼びますが、これなどはまさに海岸(beach)をくまなく探す人(comber)という意味なので、納得の表現といえます。

point
comb=「~を徹底的に探す」「~を細かく調べる」「~を精査する」

⑮railroad=鉄道?

用例:Why is this bill to be rushed and railroaded through this Senate in violation of all the ethics?
(倫理的な問題があるにもかかわらず、なぜこの法案をこんなに急いで上院を通過させなければならないのか。)

「railroad」という単語は、特に私たち日本人には思いもよらないような意味の動詞として使われています。

おそらく、多くの方々にとっては、railroadが「鉄道」以外のものを意味すること、しかもそれが動詞として使われることなど想像しにくいのではないでしょうか。

しかしながら、驚くべきことに、このrailroadは特に政治関係の動詞として、今でも非常に頻繁に使われているのです。

なお、これについては、上記用例のようにrailroad throughという形で使われることが多くなっています。

これはいったいどういう意味なのでしょうか?

文中の語句について若干の補足をしますと、billは「法案」Senateは「上院」ethicsは「倫理」のことです。

これでこの用例が、上院で法案を通すことに関する記述だということはご理解いただけるかと思いますが、残る問題はrailroad throughの意味をどう理解するかです。

正解を言うと、実はここでのrailroadというのは、「~を無理に急がせる」「~を強行採決する」という意味になるのです。

したがって、この用例の意味は、「倫理的な問題があるにもかかわらず、なぜこの法案をこんなに急いで上院を通過させなければならないのか?」という意味になるわけです。

今回ご紹介したrailroadの動詞については、向こうから電車が走ってきて、障害物などを物ともせずに、そのまま突っ切ってしまうイメージで捉えていただくと、覚えやすくなるかもしれません。

point
railroad=「~を無理に急がせる」「~を強行採決する」

⑯resort=リゾート地?

用例:Student at the university take part in research why American society resorts to violence so easily.
(その大学の学生たちは、なぜアメリカ社会がこんなにも簡単に暴力に訴えるのか研究するプロジェクトに参加している。)

毎日忙しい生活をしていると、ゴールデンウィークや年末年始などまとまった休みが取れるときには、どこかに行って日頃の疲れをゆっくり癒したいという気持ちになるものです。

そんなときに行くところとしては、国内なら沖縄、海外ならハワイなどの海のきれいなリゾート地が今も人気があるようです。

今ではあまり聞かなくなりましたが、一時はそうしたリゾート地でゆっくり楽しむことを「リゾッチャする」などという言い方をしたこともありました。

このように、「リゾート」という言葉は、今や完全に日本語として定着しています。

そうしたこともあり、英語の「resort」という単語を見ても、「リゾート地」以外に意味があるとは思いもよらないという方が多いのではないでしょうか。

ところが、実際のネイティブ英語では、resortは「リゾート地」という名詞とはまったくかけ離れた動詞として使われているのです。

では、どんな使い方をされているのか、上記用例を確認してみましょう。

問題は、resort to violenceという部分ですが、暴力にresortするとはどういう意味でしょうか?

暴力とリゾート地は何も関係がなさそうですよね。

実は、resortには動詞として、「(最後の手段として)~に訴える」という意味があるのです。

したがって、上記用例は、「その大学の学生たちは、なぜアメリカ社会がこんなにも簡単に暴力に訴えるのか研究するプロジェクトに参加している」という意味になるわけです。

なお、resortがこの意味の動詞として使われるときには、用例のように、その後にtoをつけて、resort toという形になりますので、これもぜひ覚えておいてください。

point
resort to=「(最後の手段として)~に訴える」

⑰fashion=ファッション?

用例:Japan has been busy fashioning itself as the most welcoming country for foreign tourists.
(日本は外国人観光客を最も歓待する国となれるよう、一生懸命努力している。)

次は、「fashion」という単語を取り上げます。

fashionといえば、女性服などの「ファッション」しか思いつかないかもしれませんが、驚くべきことに、このfashionにもよく使われる動詞としての意味があるのです。

では、fashionがどういう意味を持つ動詞として使われるのか、さっそく上記用例で確認してみましょう。

少子高齢化が著しい日本は内需が伸びないため、経済を活性化させる一助として、外国人観光客の買い物需要に大きな期待を寄せています。

そうしたこともあり、近年、日本は官民を挙げて外国人観光客の誘致に大変熱心に取り組むようになりました。

上記用例の文章は、まさにそんな最近の日本についての記述なのですが、この文章を理解するうえで鍵になるところで、fashionが動詞として登場しています。

実は、ここでのfashionは名詞の「ファッション」とはまったく関係がなく、「~を作り出す」「~を形作る」という意味の動詞として使われているのです。

つまり、上記用例は、「日本は外国人観光客を最も歓待する国となれるよう、一生懸命努力している」という意味になるわけです。

なお、名詞としてのfashionには、通常の「ファッション」という意味のほかに、もう1つよく使われる重要な意味があります。

具体的には、in a systematic fashion(システマチックなやり方で)とか、in an orderly fashion(秩序だったやり方で)などといったような表現で出てきます。

これは、wayと同じように、「方法」「やり方」といった意味です。

fashionにはこうした意味があることもぜひ押さえておいてください。

point
fashion=「~を作り出す」「~を形作る」「方法」「やり方」

⑱doctor=医者?

用例:The photographer working at the newspaper was fired for doctoring the pictures he had taken.
(その新聞社の写真記者は、自分が撮った写真を改ざんしたために解雇された。)

次は、「doctor」という誰でも知っている単語を取り上げたいと思います。

これもまた一筋縄ではいかない単語です。

doctorには、皆さんがよくご存じの「医者」という意味のほかに、思いもよらないような動詞としての意味があるのです。

それでは、さっそく上記用例を見てみましょう。

新聞社の写真記者が解雇された(fired)ということですから、当然悪いことをしたのだと思いますが、いったい何をしたのでしょうか?

解雇された理由は、for以下に書いてあるはずですが、そこにはdoctoringという言葉が書いてあります。

悪いことをしたはずなのに、患者を治すという良い仕事をするはずのdoctorという言葉がここにあるのは一体どういうことなのでしょうか?

そういう疑問を感じるのも当然だと思いますが、実は、このdoctorという単語は「医者」という名詞からは考えられないような、「(文書などを)改ざんする」「不正に変更する」といった非常に悪い意味があるのです。

別の英語に言い直せば、falsify、manipulate、tamper with、ticker withなどがそれに当たります

したがって、上記用例は、「その新聞社の写真記者は、自分が撮った写真を改ざんしたために解雇された」という意味になるわけです。

なお、こうした悪い意味のdoctorと同じような意味で使われる単語にcookがあります。

cookも通常は「料理する」という意味なのですが、cook the books(会計数字を操作する)などという表現があるように、「ごまかす」「不正を働く」という意味があるのです

「料理する」という意味から「ごまかす」が派生するとは、とても面白いですね。

point
doctor=「文書などを)改ざんする」「不正に変更する」

⑲champion=優勝者?

用例:The presidential candidate has vigorously championed civil rights and human rights issues.
(その大統領候補は、これまで公民権及び人権問題を強く擁護してきた。)

「オリンピックチャンピオン」や「ボクシングの世界チャンピオン」といった言い方をするように、日本語では、「チャンピオン」といえば、一般にはスポーツなどの競技における優勝者のことを意味しています。

もちろん、英語でも日本語と同じように、「champion」は優勝者や勝者のことを意味するのですが、実際の英語では、動詞としてのほうがよく使われています。

では、championには動詞としてどんな意味があるのか、まずは上記用例を確認してみましょう。

championであるような人はどのような人であるべきか、と考えれば、なんとなくそのイメージが想像できるかもしれません。

上記用例のように、championには「~を擁護する」「~を支持する」という意味があるのです。

他の英語で言えば、advocate、defend、protect、support、upholdなどといった単語が、その類似語になります

したがって、上記用例は、「その大統領候補は、これまで公民権及び人権問題を強く擁護してきた」という意味になるわけです。

championであるからには、自分一人のためではなく、みんなのためのことを考えて行動できる人でなければなりません。

そして、そんな人であれば、周りの人たちの主義主張を擁護し、支持するのが当然だという発想が、この言葉の裏にはありそうです。

point
champion=「~を擁護する」「~を支持する」

⑳merit=利点?

用例:What he has accomplished this year merits our attention and recognition.
(彼が今年成し遂げたことは、私たちが注目し、高く評価するに値するものだ。)

さて、次に取り上げるのは「merit」という単語です。

皆さんも、meritは「利点」や「長所」という意味の名詞としてよくご存じだと思います。

しかし、このmeritですが、どうも実際の英語では、日本人が理解しているような意味合いではあまり使われていないのです。

日本人は「メリットとデメリット」という言い方をよくしますが、実際にアメリカで生活していても、そう言い方はあまり聞きません。

そんなときには、むしろ、pros and cons(賛成と反対)とか、strengths and weaknesses(強みと弱み)という言い方の方が好まれているように思います。

では、meritはどんな意味として使われるのかといいますと、一番多く使われるのは、個人の「能力」や「業績」といった意味なのです。

「能力給制度」のことを英語ではmerit pay systemといいますが、これなどはまさにmeritの典型的な使い方だといえるでしょう。

そのほかに、皆さんに知っていただきたいのは、meritが動詞として非常によく使われているということです。

では、meritには動詞としてどんな意味があるのか、上記用例を見てみましょう。

これはmeritの動詞としての典型的な使い方で、日本人にはなかなか出てこない、まさにネイティブならではの英語といえます。

では、どういう意味かといいますと、実はこのmeritには「~に値する」「~に価値がある」という意味があるのです。

他の英語で言えば、deserveがこの場合のmeritの意味に一番近いといえるでしょう。

というわけで、上記用例は「彼が今年成し遂げたことは、私たちが注目し、高く評価するに値するものだ」という意味になるわけです。

point
merit=「能力」「業績」「~に値する」「~に価値がある」

㉑signature=サイン?

用例:Mr. Trump’s supporters, particularly coal state Republicans. are eager for him to withdraw from the Paris accords, seeing such a move more as a fulfillment of a signature campaign promise.
(トランプの支持者、そんな中でも特に石炭産出州の共和党支持者は、トランプが代表的な選挙公約を実現させて、パリ協定から離脱することを強く求めている。)

次に取り上げるのは「signature」という単語です。

おそらく、皆さんの多くはsignatureという単語を聞くと、すぐに「サイン」や「署名」のことを思い浮かべるのではないでしょうか?

ところが、実際に英字新聞や雑誌を読んでいくと、signatureという単語によく出会うことがあっても、それが「サイン」という意味で使われている場合は非常に少ないのです。

そうした場面に出会うことがたびたびあったため、調べてみたところ、signatureには、形容詞としての重要な意味があることが分かりました。

では、signatureには形容詞(修飾語)として、どんな意味があるのでしょうか?

上記用例は、トランプ大統領が共和党の自分の支持者から、地球温暖化に関するパリ協定から離脱するよう求められている、というニューヨークタイムズの記事から取ったものです。

1つひとつの語句自体はそれほど難しくないと思いますが、多少の補足説明をしておきましょう。

まず、coal state Republicansというのは、ウェスト・バージニア州やケンタッキー州などのような「石炭を産出する州の共和党」という意味です。

Paris accordsというのは地球温暖化ガス排出量削減のための「パリ協定」のことで、fulfillmentは物事を「達成」「実現」すること、そして、campaign promiseは「選挙公約」のことを意味しています。

これで文章のだいたいの意味はお分かりいただけたかと思いますが、やはり最大の難関は、文章の最大に出てくるa signature campaign promiseの部分です。

このsignatureを「サイン」や「署名」という意味に解釈しても、文章の意味は通じませんよね。

それも当然のことで、実はこのsignatureには「特徴的な」「代表的な」という形容詞の意味があるのです。

他の単語で言えば、characteristicやdistinctiveなどがそれに近い意味になります。

というわけで、上記用例は、「トランプの支持者、そんな中でも特に石炭産出州の共和党支持者は、トランプが代表的な選挙公約を実現させて、パリ協定から離脱することを強く求めている」という意味になるわけです。

point
signature=「特徴的な」「代表的な」

㉒summary=要約?

用例:Summary dismissal may arise in relation to serious misconduct, and where misconduct is repeated.
(重大な不正行為や、またそうした不正行為が繰り返される場合は、即時解雇することができる。)

次は「summary」という単語を取り上げたいと思います。

summaryも「要約」という意味で、今や日本語になりつつあります。

特にビジネスではよく使われる単語で、長い文書や資料などの「要約」という意味で日常的に使われるようになっています。

私も、summaryは「要約」という意味でしか理解していなかったのですが、あるとき英文を読んでいるとこのsummaryという単語が出てきました。

しかし、何度読み返しても「要約」という訳後では意味が通らないのです。

その後も「要約」という意味では使われていないように思われることの単語に頻繁に出会うようになり、ようやく辞書を調べて、summaryには「要約」以外にも重要な意味があるということを知ったのでした。

では、私がようやく知ったsummaryの「要約」以外の重要な意味とはいったい何だったのでしょうか?

まずは上記用例を確認してみましょう。

いつものように、まずは語句から説明しておきますと、dismissalは「解雇」のことで、ariseは「(物事が)起こる」という意味です。

それから、misconductというのは「違法行為」「不正行為」「不品行」といった意味になります。

さて、最大の問題は、冒頭のsummary dismissalをどういう意味に理解するかですが、このsummaryを「要約」と訳したのでは意味が通じません。

それもそのはずで、実はこのsummaryには「即座の」「すぐの」「略式の」といった意味があるのです。

「要約」という意味から「手短な」という意味ができて、そこから「即座の」という意味が生まれてきたのかもしれません。

ということで、上記用例は「重大な不正行為や、またそうした不正行為が繰り返される場合は、即時解雇することができる」という意味になるわけです。

なお、summaryについては、そのままsummaryという形で出てくるよりも、summarily(即座に)という副詞形のほうがより多く出てきますので、これも合わせて覚えておきましょう。

point
summary=「即座の」「すぐの」「略式の」

㉓material=材料?

用例:This document provides material information about the company to help you make an informed decision about investing.
(この書類にはあなたが確かな情報に基づいた投資判断を行う上で参考になる、当該企業に関する重要な情報が記載されている。)

さて、今回は「material」を取り上げたいと思います。

皆さんにとっては、materialも大変なじみの深い単語の1つで、「材料」という意味で理解されている方が多いのではないかと思います。

実際の英語でもmaterialの第一義は「材料」ですので、皆さんの理解はそれで間違っているわけではありません。

ただ残念ながら、materialもこれまでご紹介してきた単語と同じように、よく知られた名詞としての意味以外に、非常によく使われる重要な形容詞としての意味があるのです。

上記用例を確認してみましょう。

語句について説明しておきますと、provideは「提供する」informedというのは「確かな情報に基づいた」「正しい情報に基づいた」という意味です。

したがって、make an informed decision about investingで「確かな情報に基づいた投資判断を行う」という意味になります。

なお、このinformedを使った言葉には、informed consentという有名な言葉があります。

皆さんもお聞きになったことがあると思いますが、これは医師と患者との関係を表す言葉の1つで、医師が患者に病状、治療法、薬の内容などを十分に説明し、患者の同意を得たうえで治療を行うという考え方です。

つまり、このinformedには、「確かで十分な情報を持っている」という含意があるわけです。

さて、少し脱線しましたので用例に戻ります。

用例の中であと問題として残っているのはmaterial informationという部分ですが、これを「材料情報」と訳しては、何のことだかわかりませんよね?

実は、このmaterialには「重要な」という意味があるのです。

つまり、material informationとは「重要情報」という意味なのです。

ということで、上記用例は、「この書類にはあなたが確かな情報に基づいた投資判断を行う上で参考になる、当該企業に関する重要な情報が記載されている」という意味になるわけです。

point
material=「重要な」

この形容詞にこんな意味があったとは①に続く

この名詞にこんな動詞の意味があったとは①

本項では、皆さんがよくご存知の名詞の中から、動詞としても使われるものを選び、しかもそれは元の名詞の意味からは想像できないような動詞の意味として使われているものをご紹介していきたいと思います。

意外な動詞の意味を持つ名詞①

①address=住所?

用例:Some people enter counseling to address major problems in life, such as divorce.
(離婚のような人生の大きな問題に対処するためにカウンセリングを受ける人もいる。)

最初にご紹介したいのは「address」です。

addressといえば、皆さんの多くは、まず「住所」という日本語を思い浮かべるのではないでしょうか?

これは、中学でも比較的早い段階で習う単語なので、「address=住所」という1対1の形で頭にインプットされている方が多いと思います。

しかし、addressには「住所」という意味よりもはるかに重要で、はるかに多用される動詞の意味があります。

実際、英文の雑誌や新聞を読んでいて、addressが「住所」という名詞として使われている例はそんなに多くありません。

むしろ、少ないといってもいいでしょう。

では、addressはどんな意味をもつ動詞として使われているのか、上記用例をご覧ください。

問題は、to address major problems in lifeという部分ですが、addressの前に「~するために」という意味のtoがあることから、これが動詞であることがお分かりいただけるかと思います。

では、「人生の大きな問題(major problems in life)」をaddressするとは、いったいどういう意味なのでしょうか?

実は、このaddressは名詞の「住所」とはまったく関係なく、「(問題などに)対処する」という意味なのです。

つまり、上記用例は、「離婚のような人生の大きな問題に対処するためにカウンセリングを受ける人もいる」という意味になるわけです。

「(問題などに)対処する」という意味でのaddressは、日常会話でも、あるいは英文雑誌や新聞の記事でも非常に頻繁に使われています。

もし皆さんがこの単語に出会うことがあれば、まずは「問題に対処する」という意味で使われていうのではないかと考えてみてください。

point
address=「(問題などに)対処する」

②trump=トランプ?

用例:Our product trumps competitors’ products in terms of price and quality.
(私たちの商品は、価格と品質の両面で競争相手に勝っている。)

さて、次は「trump」という単語を取り上げます。

もっとも、「トランプ」といっても、トランプ大統領のことではありません(笑)。

ほとんどの方にとっては、trumpという単語を聞いてまず思い浮かぶのは、カードの「トランプ」のことではないかと思います。

でも、実際の英語ではtrumpという単語にカードのトランプという意味はありません。

英語ではカードのトランプのことはそのままcardといい、トランプで遊ぶことはplaying cardsといいます。

では、名詞のtrumpにはどんな意味があるのかといいますと、これには「切り札」という意味があり、そこからtrump cardという言い方が出てきています。

ひょっとすると、このあたりから日本語では「カード(遊び)」のことを「トランプ」と言うようになったのかもしれませんね。

少し脱線しましたので、話を元に戻しましょう。

さて、このtrumpという単語ですが、おそらく多くの人にとっては名詞という意識しかないのではないでしょうか。

ところが、実際の生きた英語では、trumpは名詞として使われるよりも、動詞として使われる方が圧倒的に多いのです。

では、どういう意味をもった動詞として使われるのでしょうか?

上記用例では、自分たちの商品について言及しているようですが、competitors’ productsにtrumpするとはいったいどういう意味なのでしょうか?

実は、このtrumpというのはカードのトランプとはまったく関係がなく、動詞として「~を打ち負かす」「~に勝つ」「~に勝る」といった意味になるのです。

別の英語でいえば、beat、surpass、outperformなどがそれに近いといえます。

ということで、上記用例は、「私たちの商品は、価格と品質の両面で競争相手に勝っている」という意味になるわけです。

point
trump=「~を打ち負かす」「~に勝つ」「~に勝る」

③sport=スポーツ?

用例:It seems that a growing number of business leaders are sporting beards recently.
(最近、ますます多くのビジネスリーダーたちがあごひげを(生やして)見せびらかすようになってきたように思われる。)

次は「sport」という単語を取り上げたいと思います。

おそらく、sportという単語を見たときには、ほとんどの方が「スポーツ」という名詞の意味以外、なかなか思いつかないのではないでしょうか?

でも、実際の英語では、これが立派な動詞として非常によく使われるのです。

このsportという英単語と日本語の「スポーツ」が頭の中であまりにも分かちがたく結びついていたため、sportからスポーツ関係以外の意味を連想することができなかったのでした。

では、そんなsportには、動詞としてどんな意味があるのでしょうか?

上記用例で、特に難しい単語はないと思いますが、念のために言っておきますと、beardsは「あごひげ」のことです。

さて、この文章では、ビジネスリーダーたちがあごひげをsportしていると書いていますが、これはいったいどういう意味なのでしょうか?

実はsportには「~を見せびらかす」「~を誇示する」という意味があるのです。

つまり、上記用例は、「最近、ますます多くのビジネスリーダーたちがあごひげを(生やして)見せびらかすようになってきたように思われる」という意味になるわけです。

ちなみに、このsportは、名詞としても、スポーツとはまったく関係ない意味で使われることがあります。

たとえば、何かの試合などで負けたとしても、それについて決して負け惜しみを言わない、さっぱりした気持ちの良い人のことなどを英語ではa good sportと言います

もし、You are a good sport.といわれたら、それはあなたが良いスポーツ選手であるといっているわけではなく、あなたが大変気持ちの良い、素晴らしい性格の人だと言っているのです。

point
sport=「~を見せびらかす」「~を誇示する」

④corner=コーナー?

用例:They have already cornered the Mexican food market. Their stores are everywhere in the country.
(彼らのメキシカンフード市場をすでに独占している。彼らの店は全国どこにでもある。)

皆さんは「コーナー」という日本語を聞いたとき、何を思い浮かべますか?

たぶん、部屋などの「角」や「隅」をイメージする方が多いのではないでしょうか?

実際、「corner」という英語はそうした意味の名詞として使われることが多いのですが、動詞としても使われることがしばしばあるのです。

では、cornerはどんな意味の動詞として使われるのかといいますと、主に2つあります。

その1つ目は「追い詰める」という意味です。

これについては、ボクシングの試合などで、一方の選手が相手を攻撃して、コーナーに追い詰めるシーンをイメージしていただければ、わかりやすいかもしれません。

それに比べて、cornerが持つもう1つの意味を理解するには少しイマジネーションが必要になってきます。

では、まず上記用例をご覧いただきたいと思います。

用例にあるメキシカンフード市場をcornerするとは、いったいどういう意味なのでしょうか?

実は、このcornerには、「買い占める」「独占する」という意味があるのです。

つまりこの用例は、 「彼らのメキシカンフード市場をすでに独占している。彼らの店は全国どこにでもある」という意味になるわけです。

別の英語で言い換えれば、control、dominate、monopolize、take over、captureなどが、この場合のcornerとほぼ同じような意味だといえるでしょう。

ビジネス英語でもcorner the market(市場を独占する)という言い方を浴しますので、この機会にぜひ覚えておいてください。

point
corner=「買い占める」「独占する」

⑤husband=夫?

用例:The political party says that they are husbanding their energies and resources for the next general election.
(その政党は次の総選挙に備えて、エネルギーと資源を節約していると言っている。)

「husband」という単語を聞けば、ほとんどの方は「夫」という名詞を即座に思い浮かべるでしょう。

husbandに「夫」以外の意味があることすら想像できないというのが正直なところではないかと思います。

ところが、実際の英語では、このhusbandという単語は「夫」という名詞としてよりも、「夫」という言葉とはまったく違った意味を持つ動詞として使われることの方が多いのです。

では、どんな意味を持つ動詞として使われているのか、まずは上記用例をご覧ください。

特に難しい単語はないと思いますが、念のために書いておきますと、political partyは「政党」general electionは「総選挙」という意味です。

そうすると、あとに残る問題はhusbanding their energies and resourcesをどう訳すかということになりますが、正解を申し上げますと、実はこのhusbandは「節約する」「倹約する」という意味なのです。

つまり、上記用例は、「その政党は次の総選挙に備えて、エネルギーと資源を節約していると言っている」という意味になるわけです。

実際、英字新聞や雑誌の記事などでも、「資源を節約する」という意味で、husband resourcesという表現をよく目にします。

「夫」を意味するhusbandから、なぜ「節約する」という意味が出てきたのか不思議ですが、昔は「節約」好きな「夫」が多かったからかもしれません。

「husband=夫=節約」というふうに考えれば覚えやすいかもしれませんね。

ちなみに、husbandの派生語のhusbandryという名詞がありますが、これは作物や動物を管理育成することを意味します

そこから、animal husbandryは「畜産管理」のことを、また、crop husbandryは「農業管理」のことを意味するようになりました。

point
husband=「節約する」「倹約する」

⑥spell=スペル?

用例:Navigating the complicated US legal systems without advice and assistance from an experienced attorney can spell disaster for you.
(複雑な米国司法体系を、経験豊富な弁護士のアドバイスや協力なしに乗り切っていくことはあなたに災難を招くことを意味する。)

次は「spell」という単語を取り上げます。

これも、皆さんがこの言葉を見れば、普通は「綴り」という意味がすぐ思い浮かぶだろうと思います。

ここでは「綴り」という意味以外で、spellが持つ2つの重要な意味をご紹介したいと思います。

まず、その第1は「魅力」「魅惑」「魔法」などという意味です。

これは名詞だけでなく、「魅了する」「魅惑する」「魔法をかける」という動詞としても使うことができます。

これと同じ意味の単語として、ほかにspellbindがあります。

「魅惑する」という意味でのspellに形容詞系はありませんが、spellbindにはspellbindingという形容詞形があり、「非常に魅力的なスピーチ」はspellbinding speechなどと言います。

そして、spellのもう1つの重要な意味ですが、上記用例の中に得てくるspellは、まさにその代表的なものです。

まず、最初のNavigating the complicated US legal systemsは「複雑な米国司法体系をうまく乗り切っていくことは」という意味で、この文の主語になります。

それから、without advice and assistance from an experienced attorneyは「経験豊富な弁護士のアドバイスや協力なしに」という意味です。

そうすると、あとに残った難関はspell disaster for youという部分ですが、実は、このspellには「綴り」や「魅力」などとは似ても似つかない、もう1つの重要な意味があるのです。

それは、「~に結びつく(lead to)」「~の原因となる(cause)」「~を意味する」という意味です。

したがって、上記用例は、「複雑な米国司法体系を、経験豊富な弁護士のアドバイスや協力なしに乗り切っていくことはあなたに災難を招くことを意味する」という意味になるわけです。

この用例に出てきたspell disaster(災害を意味する)という言い方は、新聞や雑誌記事の中で非常によく出てくる表現ですので、この機会にぜひ覚えていただければと思います。

point
spell=「魅了する」「魅惑する」「魔法をかける」「~に結びつく」「~の原因となる」「~を意味する」

⑦weather=天候?

用例:The country has successfully weathered the difficult transition from authoritarianism to democratic government.
(その国は独裁政権から民主的政権への困難な移行を、成功裏に切り抜けることができた。)

皆さんは朝起きた後、最初に何をしますか?

天気予報を見て、今日移行の天候がどうなるのかを確認しておきたいですよね。

今日は雨が降るのか、最高気温は何度くらいになりそうなのか、週末は遊びに外出することができそうか。

そんな天気予報をテレビで伝える気象予報士のことを、英語では「ウェザーマン(weatherman)」と呼んでいます

映画がお好きな方の中には、ニコラス・ケイジがまさにこの気象予報士の役で出演した、その名も「ウェザーマン」という映画をご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

さすがに、日本ではまだ気象予報士のことをweathermanとは呼びませんが、weatherが「天候」という意味の名詞であることは、皆さんもよくご存知だと思います。

しかしながら、そのweather、実は「天候」という意味の名詞で使われるのと同程度以上に、動詞として使われることが多いのです。

上記用例中のtransitionとは「政権移行」のことです。

米国では、特に大統領が交代したとき、旧政権から新政権への「政権移行」についてこの言葉が使われます。

また、authoritarianismは「独裁政権」のことです。

残るは、この文章で最も重要な意味を持つweatherの動詞としての意味です。

勘の良い方はすでにお分かりかもしれませんが、このweatherには困難な状況などを「うまく乗り切る」という意味があるのです。

つまり、上記用例は、「その国は独裁政権から民主的政権への困難な移行を、成功裏に切り抜けることができた」という意味になるわけです。

なお、蛇足ですが、weatherが名詞として使われる熟語の1つにunder the weatherという表現があります。

これは「体調がすぐれない」という意味で、日常会話でも文章でも非常によく使われています。

point
weather=「うまく乗り切る」

⑧scale=規模?

用例:If you don’t scale the lofty mountain, you can’t view the plain.
(もしその高い山に登らなければ、下に広がる平野を見ることはできない。)

次に取り上げるのは「scale」という単語です。

日本語では「スケールが大きい」という言い方をよくしますが、私たちが「スケール」という単語を聞いて、まず反射的に思い浮かべるのは「規模」という意味だと思います。

もちろん、英語でも日本語と同じくscaleは「規模」という意味で使われていますが、英語のscaleにはそれ以外にも重要な意味があります。

それは特に動詞として、日常会話でも、英字新聞や雑誌の記事でも非常に頻繁に使われているものです。

上記用例について、念のために意味の説明をしておきますと、lofty mountainというのは「高い山」という意味です。

問題のscaleはその前に出てきていますが、「高い山をscaleする」とはどういう意味でしょうか?

そうです、もうお分かりだと思いますが、このscaleというのは、climbと同じで「登る」という意味なのです。

つまり、上記用例は、「もしその高い山に登らなければ、下に広がる平野を見ることはできない」という意味になるわけです。

この文章の場合などは、scaleとclimbはまったく同じ意味を持っており、climbを使っても言い換えることができます。

アメリカ人の日常会話、さらには新聞や雑誌の記事でも、scaleは「登る」という意味で非常によく使われますので、ぜひここで押さえておいてください。

なお、「登る」という意味でのscaleについては、scale the heights of~(~の極みに達する、~の頂点に達する)という慣用句があり、これもよく使われる表現です。

point
scale=「登る」

⑨spot=点?

用例:The little girl always cries when she spots a large dog.
(その小さな女の子は、大きな犬を見つけるといつも泣く。)

皆さんもよくご存知のように、ゴルフクラブでボールを打つときに、最も遠くまでボールを飛ばすことができる最適箇所を「スイートスポット」と呼びます。

また、旅行に行ったときなど、そこで見逃してはならない名所のことを「観光スポット」と呼びますよね。

このように、基本的に日本語では「スポット」といったときには「点」とか「場所」という意味で用いられます。

もちろん、英語でもspotはそうした意味を持つ名詞として用いられているのですが、spotにはそれと同じくらい重要な動詞としても意味もあるのです。

上記用例において、簡単な英文ですので、特に用語の説明は必要ないと思いますが、問題は最後のshe spots a large dogという部分です。

「大きな犬」をspotするとはどういう意味でしょうか?

実は、このspotには「~を見つける」「~に気づく」という意味があるのです。

つまり、上記用例は、「その小さな女の子は、大きな犬を見つけるといつも泣く」という意味になるわけです。

spotという単語に「点」「場所」といったイメージが強くこびりついている日本人にとっては、これが「~を見つける」という意味の動詞になるのは、ちょっと想像しにくいかもしれません。

ただ、そう言っても、日ごろから英米人はsee、notice、realizeなどの意味で、このspotを頻繁に使いますので、私たちもそれを覚えておくに越したことはありません。

また、最後に1つだけ付け加えておきますと、spotは同じ「~を見つける」という意味でも、spot one’s talentという表現があるように、特に、「人の隠れた才能を見抜く」という意味を持っていますので、ここで一緒に覚えておいていただければと思います。

point
spot=「~を見つける」「~に気づく」

⑩detail=詳細?

用例:Police officers were detailed to the neighborhood in order to calm the rioters.
(その地域の暴徒を鎮圧するために、警官が派遣された。)

「detail」もいろんな意味がある単語です。

おそらく、皆さんは受験勉強をしているときに、detailは「詳細」、また熟語のin detailは「詳細に」という意味であると覚えたと思います。

そのため、detailが動詞として使われるなど、思いもしないという方がほとんどではないでしょうか?

ところが、実際の生きた英語では、このdetailは動詞としても非常に頻繁に使われているのです。

上記用例において、少し文章の補足説明をしておきますと、まずneighborhoodというのは「地域」のことで、別の言葉で言えばcommunityと言い換えることができます。

calm the riotersというのは、「暴徒を鎮める」という意味です。

ここまで説明すると、もうお分かりになったかもしれませんが、この用例にあるdetailというのは「~を派遣する」という意味なのです。

ほかの英単語で言えば、assign、appoint、send、dispatchなどがそれに近い意味を持っています。

つまり、上記用例は、「その地域の暴徒を鎮圧するために、警官が派遣された」という意味になるわけです。

なお、detailには「派遣された警官や小隊」という派生的意味もあり、警備という任務を与えられた警官や小隊のことはsecurity detailといいます。

point
detail=「~を派遣する」

⑪level=水準?

用例:The robber leveled the gun and fired, killing one of the employees at the bank.
(強盗は銃を向けて発砲し、その銀行の従業員の人を殺してしまった。)

「高校レベル」や「大学レベル」、あるいは「レベルアップ」などという言い方があるように、今や「レベル」という言葉も「水準」や「段階」を意味する名詞として完全に日本語に定着しています。

もちろん、英語でもそのような意味で「level」は使われています。

しかし、levelはそれ以外に動詞としても、また形容詞としても使われるなど、非常に多彩な役割を果たしています。

そんな中でも特に重要なのが、levelが動詞として使われる場合です。

動詞としてのlevelには、特によく使われる重要な意味が2つあります。

1つ目は上記用例のような使い方です。

ここでは、levelはlevel the gunという部分で使われておりますが、文章全体の感じからなんとなくこの意味がお分かりいただけたのではないでしょうか。

そうです、このlevelは「~を向ける」という意味なのです。

つまり、上記用例は「強盗は銃を向けて発砲し、その銀行の従業員の人を殺してしまった」という意味になるわけです。

これに加えて、動詞のlevelにはもう1つ重要な意味があります。

それは次のような使われ方をしています。

The earthquake was so big that it leveled everything in the city.

ここではleveled everything in the cityとなっていますが、これはどうも、先に見た「~を向ける」という意味ではなさそうです。

実は、このlevelは「破壊する」という意味なのです。

したがって、この文章は、「地震は大変大きかったので、市中にあったものすべてを破壊した」という意味になるわけです。

なお、levelには「平らな」という形容詞の意味もありますが、それを「平らにする」という動詞と考えれば「破壊する」というlevelの意味も幾分覚えやすくなるかもしれません。

point
level=「~を向ける」「破壊する」

⑫file=ファイル?

用例:A group of professors and journalists filed out of the bus and into the conference center.
(大学教授とジャーナリストのグループはバスから降りて、会議センターに入っていった。)

日本語で「ファイル」といえば、仕事や家庭で書類などを整理して入れておくためのビニールや紙製の文具がイメージされるのではないかと思います。

もちろん、英語の「file」にもそれと同じ意味がありますが、そうした意味でこの単語が使われることはそれほど多くありません。

むしろfileという単語がより頻繁に使われるのは動詞としてなのです。

では、どんな意味を持つ動詞として使われているのでしょうか?

日本語の「ファイル」という意味からは少しイメージしにくいかもしれませんが、どんな意味になるのか、上記用例を読んでみてください。

文章の中にある、「バスからfileした」(filed out of the bus)とはどういう意味でしょうか?

実は、名詞のfileには、皆さんがよくご存知の文具の「ファイル」のほかに、「縦の列」という意味があり、そこから派生して「列をつくって進む」という動詞として使われることが多いのです。

したがって、上記用例は、「大学教授とジャーナリストのグループはバスから降りて、会議センターに入っていった」という意味になるわけです。

用例の後半にand intoとなっている部分がありますが、これはand filed intoということで、filedが省略されています。

file intoという表現は、「~に中に進んでいく」という意味でよく出てきますので、この機会にぜひ覚えておきましょう。

point
file=「列をつくって進む」「~に中に進んでいく(into)」

この名詞にこんな動詞の意味があったとは②に続く

この動詞にこんな意味があったとは③

意外な意味の動詞③

㉑train=訓練する?

用例:The policeman trained his gun on a man running away from him.
(警官は逃げ去ろうとする男に銃を向けた。)

「トレーニング」「トレーナー」などというカタカナ言葉は、今やすでに立派な日本語になっています。

そのため、動詞としての「train」も「訓練する」という意味で理解されている方が多いかと思います。

実際、英語でもその通りで、通常、trainは「訓練する」という意味で使われています。

ただ、ここで皆さんに覚えておいていただきたいのは、trainにはそれ以外にもう1つ重要な意味があることです。

上記用例の文意は、警官が逃げようとしている男に銃をtrainしたということですが、このtrainにはどんな訳語を当てはめればいいのでしょうか?

実は、このtrainは「訓練する」という意味とはまったく関係なく、「
(銃、カメラ、ライトなど)を向ける」という意味なのです。

つまり、上記用例は「警官は逃げ去ろうとする男に銃を向けた」という意味になるわけです。

このような意味で、trainが使われる場合は、train~onかtrain~atのように、通常、trainの後にonかatがきて、銃、カメラ、ライトなどを向ける相手を指し示すことになります。

また、ライトをtrainする(向ける)場合については、本物のライトを向ける場合にも使うことができますし、下記用例に出てくるspotlightのように、比喩的なものについて言う場合にも使うことができます

The crisis has trained a harsh spotlight on Mr. Obama’s foreign policy.
(今回の危機は、オバマ大統領の外交政策に対して厳しい焦点を当てることになった)

point
train=「(銃、カメラ、ライトなど)を向ける」

㉒develop=発展する?

用例:Scientists have known for long time that sedentary people are at increased risk of developing heart disease.
(座っていることの多い人は心臓病にかかるリスクが高いということを、科学者たちは長年にわたって知っていた。)

新聞などを読んでいると、「発展途上国」という言葉によく出会います。

英語では、こうした「発展途上国」のことをdeveloping countries、また「先進国」のことをdeveloped countriesといいます。

以前は、「発展途上国」のことを「低開発国(underdeveloped countries)」などとドギツい言い方をしていましたが、さすがに近年は、そうした呼び方は好ましくないとして使われなくなりました。

さて、このように、皆さんもdevelopは基本単語の1つとして、「発展する」「成長する」などといった意味で覚えておられる方が多いかと思います。

では、上記用例ではどうでしょうか?

sedentaryという少し難しい単語が出てきますが、これは「座って行う」という意味です。

これさえわかれば、後はそんなに難しい単語は出ていないと思いますが、最大の問題は最後のdeveloping heart diseaseという部分でしょう。

heart disease(心臓病)をdevelopするとは、いったいどういう意味なのでしょうか?

勘の良い方はもうお分かりかもしれませんが、実はこのdevelopは病気などを「発症する」「かかる」「患う」という意味なのです。

したがって、上記用例は「座っていることの多い人は心臓病にかかるリスクが高いということを、科学者たちは長年にわたって知っていた」という意味になるわけです。

このように、developは「発展する」や「成長する」といった意味以外でも良く使われますので、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。

point
develop=「発症する」「かかる」「患う」

㉓dispatch=発送する?

用例:It was amazing to see the ease with which the Red Sox dispatched the Yankees last night.
(昨夜、レッドソックスがヤンキースにあまりに簡単に勝ったのには驚いた。)

最近、アマゾンなどオンラインでのショッピングが急激に増えたため、商品を配達する宅配便など、宅配サービスにおける人手不足が大きな社会問題になっています。

確かに、全国にある有名点の品物をクリック1つで手軽に変えるオンライン・ショッピングは大変便利で、実際にその商品の配達をする人が足りなくなっているというのも頷ける話です。

このように、宅配便などで業者が商品を送ったり、また個人が知り合いに荷物を送ったりすることを、英語ではsendということは、皆さんもよくご存知のことと思います。

このsendとほぼ同じ意味を持つものとして、dispatchという単語があります。

さて、本項ではこれら2つのうちdispatchの方を取り上げます。

というのも、dispatchには「発送する」「送る」という皆さんがよくご存知の意味のほかに、もう1つの非常に重要な意味があるからです。

では、dispatchにいったいどんな意味があるのか、まずは上記用例をご覧ください。

まず、文中にRed SoxやYankeesという名前が出てくることから、これがメジャーリーグに関することだということはご理解いただけるかと思いますが、さて、Red SoxがYankeesをdispatchしたとは、どういう意味なのでしょうか?

実はここでのdispatchは、物事を「すばやく片付ける」「処理する」という意味なのです。

つまり、上記用例は「昨夜、レッドソックスがヤンキースにあまりに簡単に勝ったのには驚いた」という意味になるわけです。

なお、dispatchには、こうした「すばやく片付ける」という意味の延長線上のものとして「殺す」という恐ろしい意味もあります。

これもよく使われる表現なので、ぜひ覚えておいてください。

point
dispatch=「すばやく片付ける」「処理する」「殺す」

㉔condemn=非難する?

用例:Tom’s family owned a hole-in-the-wall hot-dog counter in Times Square that was the last of its kind when New York decided to revitalize the area in the 1990s by condemning dozens of small shops like it.
(トムの家は、タイムズスクエアの一角に小さなホットドッグ店を所有していたが、1990年代にニューヨーク市がタイムズスクエアの再活性化のため、多数ある同様の小型店舗を使用禁止にしたとき、トム家のホットドッグ点は最後に残った店であった。)

英語には「批判する」「非難する」という意味を持つ単語や熟語がたくさんあります。

そんな意味を持つ単語として、まず思い浮かぶのはcriticizeではないかと思います。

criticizeは非常に汎用性の高い単語で、日常会話でも頻繁に使われるだけでなく、国連などの国際機関や政府声明などといった公的な文言の中でも非常によく使われています。

criticizeの類似語として「condemn」という単語を受験英語で覚えた方も多いのではないでしょうか?

実際、このcondemnもcriticizeと同様に大変よく使われる単語で、特に国連や各国政府がテロ行為などを非難するときなどに、このcondemnという単語は非常によく使われます。

ただ、意味合いとしては、condemnの方がcriticizeよりも批判する度合いが強く、日本語で言えば、「批判する」というよりも「非難する」に近い語感といえるでしょう。

さて、そんなcondemnには「非難する」という意味以外にも非常に重要な意味があります。

少し長くなりますが、まずは上記用例をご覧ください。

1つ、2つわかりにくい単語がありますので、まずはそれについて説明しておきましょう。

1つ目は出だしのすぐ後に出てくるhole-in-the wallという単語ですが、これは「小さくて目立たない」という意味です。

2つ目は真ん中あたりに出てくるrevitalizeですが、これは「再活性化させる」という意味です。

これだけわかれば、残る難関はby condemningという部分ですが、その後にdozens of small shops like it(たくさんのそうした小さな店舗)という文言があることを考えると、少なくともこのcondemnは「非難する」という意味では使われていないようです。

では、このcondemnはどういう意味かといいますと、実は建物などを「使用禁止にする」という意味なのです。

つまり、上記用例は、「トムの家は、タイムズスクエアの一角に小さなホットドッグ店を所有していたが、1990年代にニューヨーク市がタイムズスクエアの再活性化のため、多数ある同様の小型店舗を使用禁止にしたとき、トム家のホットドッグ点は最後に残った店であった」という意味になるわけです。

point
condemn=「使用禁止にする」

㉕fail=失敗する?

用例:He tried to say something, but words failed him at the moment.
(彼は何か言おうとしたが、彼にはそのとき言葉が出てこなかった。)

さて、次はfailという単語を取り上げたいと思います。

failが「失敗する」という意味であることは、皆さんもよくご存知だと思います。

またfailを使った言い方の1つとしてfail to~というものがあり、それが「~をしない」という意味になることもご存知かと思います。

このようにfailという単語は皆さんにとっても非常になじみの深い単語であり、この単語を見れば、つい条件反射的に「失敗する」という日本語が思い浮かぶのではないでしょうか?

ただ、皆さんにはここでfailが持つもう1つの重要な意味も覚えておいていただきたいのです。

まずは上記用例をご覧ください。

特に難しい単語はないかと思いますが、唯一最大の問題はwords failed himという部分です。

「言葉が彼をfailした」とはいったいどういう意味なのでしょうか?

「言葉が彼を失敗させた」では意味が通じませんので、このfailには「失敗する」とは違う別の意味があるはずです。

勘の良い方はもうお分かりかもしれませんが、実はここでのfailは「見捨てる」「失望させる」「(期待を)裏切る」などといった意味になるのです。

別の英単語で言えば、desert、let down、disappointなどと言い換えることができるでしょう。

つまり、上記用例は「彼は何か言おうとしたが、彼にはそのとき言葉が出てこなかった」という意味になるわけです。

たとえば、せっかく受験勉強をがんばって念願の大学に入学できたのに、その大学がつまらなかったり、あるいは、つらい就活を終えてせっかく就職できたのに、その会社が期待はずれだったりした場合などには、このfailを使って、The university (or company) failed me.と言うことができます。

point
fail=「見捨てる」「失望させる」「(期待を)裏切る」

㉖locate=置く?

用例:It is now possible to take a DNA sample from a criminal scene and locate the criminal.
(今や、犯行現場からDNAサンプルを採取すれば、犯人を見つけ出すことができるようになっている。)

さて、次はlocateという単語を取り上げたいと思います。

locateについては、「~に置く」「~に位置する」という意味で覚えられた方が多いのではないかと思います。

特に、その名詞形であるlocationが「場所」や「位置」という意味で日本語として広く使われていることもあり、locationの動詞であるlocateも、「場所」や「位置」に関連する単語として記憶されている方が多いのではないでしょうか?

もちろん、実際の英語でもlocateは「~に置く」「~に位置する」という意味で使われる場合も多く、これらがlocateのもっとも重要な意味であることは間違いありません。

しかしながら、locateにはこれ以外にもう1つ、大変よく使われる意味があるのです。

その第2の意味は、「~に置く」や「~に位置する」というlocateの第1の意味から類推することはそう簡単ではありません。

では、locateの第2の意味とはいったい何でしょうか?

上記用例ではlocateは最後の方に出てきますが、最初から読んでいただければ、なんとなくlocateの意味がお分かりいただけるかもしれません。

語句については、特にご説明するほど難しいものはないかと思いますが、唯一の問題はlocateの意味です。

用例の前半には「犯行現場からDNAサンプルを採取する」と、今では何かが可能になっていると書いてありますが、その何かというのがlocate the criminalということなのです。

実は、ここでのlocateは「~を見つける」「~を探し出す」という意味になるのです。

別の英単語で言えば、findやdiscoverがこれに近い単語です。

ということで、上記用例は、「今や、犯行現場からDNAサンプルを採取すれば、犯人を見つけ出すことができるようになっている」という意味になるわけです。

point
locate=「~を見つける」「~を探し出す」

㉗gather=集める?

用例:From their tense, argumentative exchanges, I gather that they have had a serious domestic squabble.
(彼らが緊迫した論争をしていたことから、私は彼らが家庭内で深刻な争いを抱えていると思う。)

次に取り上げるのはgatherという単語です。

これについては、学校や受験勉強時代に「集める」「集まる」という意味で覚えた方が多いかと思います。

gatherとは違う単語ですが、「一緒に」という意味のtogetherとgatherの発音が似ていること、さらに日本語で「一緒に集まる」と言う表現をよくすることなどから、「gather=集まる」とイメージして覚えた人も多いかもしれません。

あるいは、女性のスカートなど服飾に関して、布を縫い縮めてしわやひだを寄せたものを「ギャザー」と呼んでいますが、これなども「gather=集める」というイメージを強める一員になっているのかもしれません。

ところが、実際の英語では、gatherは「集める」という意味だけで使われているわけではありません。

gatherにはこのほかにもいろんな意味がありますが、そんな中でも特によく使われるもう1つの意味があります。

上記用例の中に少し見慣れない語句がありますので、それについて先に説明しておきましょう。

まず、tenseは「緊迫した」という意味で、そのあとのargumentativeは「論争的な」「議論をふっかけてくる」といった意味になります。

それから、domesticは「家庭内の」という意味で、squabbleは「口げんか」「口論」のことです。

これで用例の大体の意味はお分かりいただけたかと思いますが、あと残るはI gatherの意味をどう理解するかです。

勘の良い方はもうお分かりかと思いますが、この場合のgatherは「集める」という意味ではなく、「推測する」「理解する」という意味になるのです。

別の英語で言えば、understand、assume、believe、thinkなどに近い意味だとお考えいただければいいでしょう。

というわけで、先の用例は、「彼らが緊迫した論争をしていたことから、私は彼らが家庭内で深刻な争いを抱えていると思う」という意味になります。

point
gather=「推測する」「理解する」

㉘pitch=投げる?

用例:The founder of the startup company appeared on the TV show to pitch his product to fix bad har in the morning without taking a shower.
(そのスタートアップ企業の創業者はテレビ番組に出演して、朝起きたときにボサボサになっている髪の毛を、シャワーを浴びずに整えることができる自社開発商品の宣伝をした。)

次にご紹介する単語はpitchです。

pitchといえば「投げる」という意味に決まっているじゃないかとお叱りを受けそうですが、「投げる」という意味以外にも、皆さんが思いもよらない意味があるのです。

では、それがいったいどんな意味なのか、上記用例をごらんいただきましょう。

まず語句について簡単に説明しておきますと、founderは「創設者」「創業者」という意味です。

最近では日本でも、会社によっては、創設者のことをカタカナで「ファウンダー」と呼んでいるところもありますので、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

また、その後に出てくるstartup companyは日本ではまだまだ数が少ないのですが、アメリカのシリコンバレーには、こうしたstartup companyが密集しており、起業家たちはいつの日か自分たちのstartupをGoogleやFacebookのような企業に成長させたいと日々猛烈に仕事しています。

fixは「髪などを整える」という意味で、bad hair in the morningというのは、「朝起きたときに髪の毛がボサボサになっている」という意味です。

これで大体の文意はお分かりいただけたかと思いますが、あと残るはpitch his productという部分をどう解釈するかです。

pitchといっても、投げ捨ててしまうことではなさそうです。

投げ捨ててしまうくらいなら、テレビ出演する必要はないはずですよね。

正解を申し上げますと、実はこのpitchは投げ捨ててしまうこととは正反対で、「宣伝する」「口説く」という意味になるのです。

つまり、この用例は「そのスタートアップ企業の創業者はテレビ番組に出演して、朝起きたときにボサボサになっている髪の毛を、シャワーを浴びずに整えることができる自社開発商品の宣伝をした」という意味になるわけです。

point
pitch=「宣伝する」「口説く」

㉙take=取る?

用例:My take is that we do not care much about artificial intelligence if the goal is to reproduce human cognition in order to replace it.
(もし人工知能の目的が人間の認識力に取り替わる能力を再生することにあるのなら、私たちはそんなに人工知能に関心を持たないだろうというのが私の見解だ。)

「take」は英語の最も基本的な単語の1つであり、それが「取る」という意味であることはいうまでもありません。

もちろん、takeには動詞としてそれ以外の意味も数多くありますが、ここでご紹介したいのはtakeの名詞としての重要な意味です。

これはアメリカ人の日常会話や英文記事の中で、きわめて頻繁に出てくる非常に重要な使い方です。

上記用例について、いつものように、まず語句から説明していきます。

care forは「~に関心を持つ」「~を大切に思う」という意味になります。

reproduceは「再生する」「再現する」という意味で、cognitionは「認識力」という意味です。

では、冒頭のmy takeはどういう意味なのでしょうか?

「take=取る」ということからある程度類推可能なのですが、実はこのtakeには「見解」「解釈」「理解」といった意味があるのです。

言い換えれば、my takeとはmy understandingのことです。

これは本当によく使われる表現ですので、皆さんにもぜひ覚えておいていただきたいと思います。

ということで、上記用例は「もし人工知能の目的が人間の認識力に取り替わる能力を再生することにあるのなら、私たちはそんなに人工知能に関心を持たないだろうというのが私の見解だ」という意味になります。

point
take=「見解」「解釈」「理解」

㉚mean=意味する?

用例:She is such a mean person. She is constantly making snide remarks and putting people down.
(彼女は本当に性格が悪い。彼女はいつも意地悪な発言をして、人のことをけなしている。)

今回ご紹介するのはmeanです。

meanも英語の基本単語の1つといってもよく、それが「~を意味する」という意味になることはよくご存知だと思います。

もちろん、実際の英語でもmeanはそのような意味として使われています。

しかし、meanは動詞として上記のような意味で使われるのはもちろんのこと、形容詞としてもさまざまな意味で使われる非常に汎用性の高い単語なのです。

そうしたmeanの形容詞の意味として最もよく使われるのが、上記用例のような使い方です。

このmeanがどんな意味で使われているか、お分かりになりますでしょうか?

どうもあまり良い意味ではなさそうです。

まず語句について説明しておきますと、snideというのは「嫌味な」とか「悪意に満ちた」という意味です。

put~downは「~の悪口を言う」「~のことをけなす」という意味の句動詞です。

2つ目の文章の中に、「嫌味な」とか「悪口を言う」とか「けなす」などといった単語が入っていることから、用例の「彼女」はあまり好ましい性格の人ではなさそうです。

実際その通りで、このmeanは「意地悪な」「不親切な」「性格の悪い」といった意味になるのです。

つまり、最初の文章で、「彼女は性格が悪い」と言ったことの具体的内容を、2つ目の文章で述べているわけです。

ということで、この用例は、「彼女は本当に性格が悪い。彼女はいつも意地悪な発言をして、人のことをけなしている」という意味になるわけです。

なお、すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、最初の文章にあるmeanと、2つ目の文章にあるsnideはほぼ同じ意味であることに注意していただきたいと思います。

英語表現の大きな特徴の1つは、何度も同じタンゴを繰り返すのを嫌うことで、この用例のように同じ意味のことを、できるだけ違った単語で表現しようとする傾向があるのです。

point
mean=「意地悪な」「不親切な」「性格の悪い」

この名詞にこんな動詞の意味があったとは①に続く

この動詞にこんな意味があったとは②

意外な意味の動詞②

⑪carry=運ぶ?

用例:Trump carried important states in the South in the presidential election.
(トランプは大統領選において、南部の重要な州で勝利した。)

「carry」という動詞にも、皆さんがすぐに思い浮かべられる「~を運ぶ」という意味の他に、いくつかの重要な意味があります。

まず第1は、例えば上記用例で用いられているように、「選挙戦などの戦いで勝つ」という意味があります。

アメリカ大統領選挙の場合、基本的には州ごとの戦いとなり、その州で1票でも多くの得票をした方がその州を制して、大統領選挙人を総取りするという形になります。

そうしたことから、本番の大統領選挙の新聞やテレビの報道では、「どの候補がどの州を“carry”したか」ということに焦点が当てられますので、選挙ではcarryという単語が頻繁に使われます。

それからもう1つ、carryという単語がよく使われるケースがあります。

それは、テレビや新聞などのメディアが「ニュースを放送したり、あるいは記事にして掲載したりする」という意味で使われるときです。

例えば、「ニューヨーク・タイムズは9.11事件を詳細に報道した」ということを英文にしようとすれば、「The New York Times carried the detailed account of 9.11.」と書くことができます。

それから、最後にもう1つ、carryの意味としてよく使われるものをご紹介しておきたいと思います。

それは、上記のような政治やメディア報道などとは全く関係がなく、皆さんが日常生活で買い物をしたりするときなどに使われるものです。

例えば、商店で自分が買いたいものが実際にその店で売られているのかどうかわからないときなどに、そこの店員に対して、「Do you carry XYZ?」(こちらのお店ではXYZという商品を“取り扱って”いますか?)とcarryを使って聞くのです。

買い物には欠かせない非常に便利な単語ですので、機会があればぜひ一度使ってみてください。

point
carry=「勝つ」「報道する」「掲載する」「(お店で)取り扱う」

⑫maintain=維持する?

用例:Trump maintains that America should not join T.P.P. because it hurts American workers.
(TPPはアメリカの労働者のためにならないということを理由に、アメリカはTPPに参加すべきでないとトランプは主張している。)

「maintain」にはその派生語としてmaintenanceという名詞がありますが、この「メンテナンス」という言葉は「維持管理」という意味として、今や立派な日本語になっています。

そのため、そのもとになっているmaintainという動詞についても「維持する」という意味で覚えている方が多いのではないかと思います。

ただ、上記用例のように、maintainには「維持する」という意味以外にも非常によく使われるもう1つの重要な意味があるのです。

皆さんもよくご存じのように、トランプ大統領は大統領に就任する前から、TPPにアメリカが参加することに強く反対してきました(その後、実際にアメリカはTPPから離脱しました)。

上記用例は、そうしたトランプ大統領のTPPに対する考え方を述べたものですが、この用例で使われているmaintainの意味は、皆さんにとってなじみの深い「維持する」という意味ではなさそうです。

実際そのとおりで、ここで使われているmaintainは「~を主張する」「~を断言する」という意味で使われているのです。

つまり、「TPPはアメリカの労働者のためにならないということを理由に、アメリカはTPPに参加すべきでないとトランプは主張している」という意味になるわけです。

なお、「主張する」「断言する」という意味でのmaintainの類似語としてはassert、allege、advocate、argue、claim、insistなどがあります。

これらの類似語に負けず劣らず、maintainもそうした意味でよく使われますので、ぜひ覚えていただければと思います。

point
maintain=「~を主張する」「~を断言する」

⑬determine=決定する?

用例:We determined that we have a material weakness in our internal control over financial reporting.
(私たちは会計報告に関する内部管理に重大な弱点があると判断した。)

「determine」という単語も、皆さんよくご存じだと思いますが、多くの方はその意味を「決定する」という訳語と一緒に覚えられているのではないでしょうか?

しかし、determineの訳語として「決定する」という意味だけを覚えていると、どうも意味が通じないという英文に出くわすことになります。

実際、私自身も以前ある英文記事を読んでいるとき、determineに「決定する」以外の意味があることにまったく思い至らず、いくらその記事を読んでも理解できないことがありました。

では、determineは「決定する」という意味以外に、どのような使われ方をしているのでしょうか?

上記用例を確認してみましょう。

まず、that以下の文章の意味について簡単に説明しておきますと、material weaknessというのは「重大な弱点」という意味です。

materialも複数の意味を持つ形容詞で、皆さんがよくご存じの「物質的な」という意味の他にも「重大な」という意味があります。

また、internal controlというのは、企業などにおける「内部管理」のことで、financial reportingとは「会計報告」のことです。

これで、that以下の文章の意味はだいたいお分かりいただけたかと思いますが、問題は冒頭にあるdetermineの意味です。

実は、このdetermineには「決定する」以外の重要な意味として、「~を判断する」「~を見つけ出す」という意味があるのです。

つまり、上記用例は「私たちは会計報告に関する内部管理に重大な弱点があると判断した」という意味になるわけです。

学校では、「判断する」はjudgeと習ったという方もいるかもしれません。

もちろん、それで正しいのですが、このjudgeという単語は、法律や裁判関係で使われることが多く、上記のような一般的な事例の場合は、determineやdecideなどの方がより多く使われています

point
determine=「~を判断する」「~を見つけ出す」

⑭employ=雇う?

用例:We need to employ fresh thinking in solving these kinds of problems.
(これらの問題を解決するためには、私たちは新しい考え方をする(採用する)必要がある。)

「employ」という単語も、英文雑誌や新聞の文章では非常によく使われます。

もっとも、皆さんには、employは動詞としてよりも、その派生語である名詞形のemployment(雇用)、employer(雇用主)、employee(従業員)のほうがよりなじみ深いかもしれませんね。

実際の英文では、employは「雇う」という意味で使われることよりも、それとは別の意味で使われることの方がはるかに多くなっています。

では、それはどのような意味として使われているのか、上記用例で確認してみましょう。

上記用例のemploy fresh thinkingという部分ですが、これを「新しい考え方を雇用する」と訳したのでは、全く意味が通じません。

実は、employは「雇用する」という意味で使われることよりも、「~を用いる」「~を使う」「~を採用する」という意味で使われることの方がはるかに多いのです。

別の単語で言い換えれば、use、utilize、adopt、make use ofなどがそれにあたります。

上記用例は「これらの問題を解決するためには、私たちは新しい考え方をする(採用する)必要がある」という意味になるわけです。

私たち日本人は、employという単語を見たら、どうしてもすぐに「雇う」という訳語が反射的に思い浮かんでしまいます。

しかし、そこはグッとこらえて、まずは、今自分が読んでいる英文が人を雇うことに関するものかどうかを考えていただきたいと思います。

もしそうでなければ、そこでのemployは「雇う」ではなく、「使用する」や「用いる」という意味で使われている確率が高いといえるでしょう。

point
employ=「~を用いる」「~を使う」「~を採用する」

⑮count=数える?

用例:If you start the project you mentioned yesterday, count me in.
(もし君が昨日話していたプロジェクトを開始するのなら、私も入れてよ。)

さて、次は「count」という単語について考えてみましょう。

countについては、日本語でも「~をカウントする」という言い方があるように、「数を数える」という意味で理解されている方が多いのではないでしょうか?

もちろん、英語でもcountの第一義が「数える」という意味であることは間違いありません。

ただ、厄介なことに、countにはこれ以外にも2つの重要な意味があり、しかもそれらが第一義の「数える」という意味以上に頻繁に使われているのです。

では、まず上記用例を読んでいただくことにしましょう。

文章の前半部分については、「もし君が昨日話していたプロジェクトを開始するのなら」という訳になることはお分かりになるかと思いますが、問題は後半のcount me inという部分です。

このcountを通常の「数える」という意味に解して、「私も中に数えてくれ」と訳すと、何かしっくりこないですよね。

実は、ここで使われているcountは「数える」という意味ではなく、「~に含める」というincludeと同じ意味なのです。

したがって、上記用例は「もし君が昨日話していたプロジェクトを開始するのなら、私も入れてよ」という意味になるわけです。

countがよく使われるもう1つの重要な意味は「~は重要である」「~は価値がある」という意味です。

例えば、選挙での投票を呼び掛ける時などに、Your vote counts.(あなたの1票は重要です)と言ったりしますが、まさにこのときのcountsがその意味になります。

なお、「~は重要である」という意味のcountの同義語にはmatterがあります。

Your participation matters.(あなたの参加が重要です)などという文章のように、countとmatterは同じような使われ方をします。

これもぜひ覚えておいてください。

point
count=「~を含める」「~は重要である」「~は価値がある」

⑯establish=確立する?

用例:We have no information at this moment that would establish that the athlete used steroids.
(現時点では私たちには、その選手がステロイドを使ったことを証明する情報がない。)

皆さんは「establish」を「確立する」「設置する」「創業する」などという意味で覚えておられるのではないでしょうか?

確かに、新たに会社や学校をつくったり、法律や制度を制定したりするときにこのestablishという単語が使われますので、「確立する」「設置する」「制定する」という意味を覚えておくのは非常に大切です。

最近では、お店の看板などにも「創業1989年」という意味でestablishedの略語であるest.を使って「est. 1989」などと書かれているのを見かけることもあります。

しかし、残念ながら、このような基本的な意味を覚えているだけでは十分ではないのです。

establishには、この他にもう1つ、非常によく使われる大変重要な意味があります。

上記用例を確認してみましょう。

文章の前半については、それが「現時点では私たちに情報はない」という意味になることはお分かりになるかと思いますが、問題はthat would establish thatという部分です。

2つ目のthat以下の意味は、「その選手がステロイドを使った」ということですが、そのことをestablishするとはどういう意味なのでしょうか?

実はここで使われているestablishは「~を証明する」「~を立証する」という意味になるのです。

別の英単語で言えば、prove、demonstrate、show、verifyなどがそれに近いといえるでしょう。

というわけで、上記用例は、「現時点では私たちには、その選手がステロイドを使ったことを証明する情報がない」という意味になるのです。

この意味でのestablishは、英文雑誌や新聞などの記事だけでなく、ビジネス上の文章やメールのやりとりなどでも非常によく使われますので、ぜひ、使いこなせるようになっていただきたいと思います。

point
establish=「~を証明する」「~を立証する」

⑰report=報告する?

用例:I would like to know who I should report to.
(私は、誰の指示を仰ぐべきかを知りたいものだ。)

皆さんよくご存じのとおり、「report」という単語の基本的な意味は「報告する」「報道する」ということです。

ただ、これがreportという単独の単語ではなく、report toとtoが後に続いた場合には、その意味が大きく変わってきます。

ここでいうreport toというのは、口頭か文書を通じて「報告する」という行為を表しているのではありません。

そうではなく、自分は誰の支配下にある部下なのか、換言すれば、誰が自分の直属の上司なのかという意味になるのです。

つまり、このreport toは「~に直属する」「~の支配下にある」「~に指示を仰ぐ」という上司・部下の関係を意味することになるわけです。

そのため、こうした上司・部下の関係については、英語でreporting relationshipといいます。

また、これ以外にも、report toにはよく使われるもう1つの重要な意味がありますので、ここでご紹介しておきたいと思います。

まずはその用例からご覧いただくことにしましょう。

Chicago’s pitchers and catchers report to spring training on Feb.14.

この用例に出てくる「Chicago」というのはメジャーリーグのシカゴ・カブスのことですが、このカブスのピッチャーとキャッチャーが2月14日に春季キャンプに「report to」というのは「~に行く」「~に出頭する」「~に顔を出す」という意味なのです。

つまり、この用例は、「シカゴのピッチャーとキャッチャーたちは2月14日に春季キャンプに行くことになっている」という意味になるわけです。

これもreport toの用法として頻繁に使われますので、合わせてぜひ覚えておいていただければと思います。

point
report to=「~に直属する」「~の支配下にある」「~に指示を仰ぐ」「~に行く」「~に出頭する」「~に顔を出す」

⑱swear=誓う?

用例:He got very drunk at the bar and started to swear at people around him.
(彼はバーで大変に酔ってしまい、周りにいる人たちを罵り始めた。)

受験英語では「swear」は「誓う」という意味で覚えられた方が多いと思います。

実際、swearは今でも「誓う」という意味でよく使われていますが、swear inという句動詞の形になると、単なる「誓う」という意味ではなく、公職などに「宣誓して就任させる」という意味になります。

そのため、特に政治関係の英文雑誌や新聞の記事などではこの言葉がよく使われます。

ただ、2017年1月にドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任したとき、「Donald Trump was sworn in as the 45th president.」と書かれたように、通常はswear inではなくsworn inという受動態で表現されます。

このように、swearは「誓う」という皆さんがご存じの意味でもよく使われているのですが、それ以外にも、もう1つ重要な意味があります。

上記用例の前半部分については、そんなに難しい単語もありませんので、この部分が「夜はバーで大変に酔ってしまった」という意味になることはお分かりいただけるかと思います。

問題は、swearが入っている後半部分です。

ただ、文章の前半で「彼は大変酔ってしまった」と書いてありますから、後半部分についても彼についてあまり良いことが書かれていないことが予想されます。

実際その通りで、ここでのswearは「罵る」「悪口を言う」「悪態をつく」といった意味なのです。

ということで、上記用例の意味は「彼はバーで大変に酔ってしまい、周りにいる人たちを罵り始めた」ということになるわけです。

swearの第一義にはswear by God(神にかけて誓う)という表現もあるように、その語感には非常に神聖な響きがあるのですが、この第二義はそれとは正反対に近い、非常に悪い意味です。

英語には「四文字語」と呼ばれる罵り語が多数ありますが、それらの言葉が別名swear wordと呼ばれるのも、まさにそのswearが「誓い」ではなく、「罵る」という意味を持っているからなのです。

point
swear=「罵る」「悪口を言う」「悪態をつく」

⑲succeed=成功する?

用例:Mr. Smith is well positioned to secceed Mr. Johnson as the company’s new president.
(スミス氏は、現在その会社の社長であるジョンソン氏の後継者になる良い位置につけている。)

「succeed」という単語は、「成功する」という意味であることは皆さんもよくご存じでしょう。

また、その名詞がsuccessで、形容詞がsuccessfulであることもよくご存じだと思います。

ただ、ここで1つ思い出していただきたいことがあります。

それは、動詞には自動詞と他動詞の2つがあるということです。

ごく簡単に言えば、自動詞はその後に目的語を必要としない動詞、他動詞は目的語を必要とする動詞のことです。

例えば、stopという動詞は、自動詞と他動詞の両方で使います。

The car stopped.の場合は、stopの後に目的語がありませんので、「止まる」という意味の自動詞として使われていることが分かります。

それに対して、The car stopped an old man.という文章になると、stopの後に目的語のan old manがあることから、「止める」という意味の他動詞として使われていることが分かります。

これと同じで、succeedも自動詞と他動詞の両方で使われる動詞で、皆さんが慣れ親しんでいる「成功する」という意味のsucceedは自動詞としての使われ方なのです。

では、他動詞のsucceedにはどのような意味があるのでしょうか?

上記用例の文章ですが、会社の新社長に誰がなるのかという人事の話であることは、だいたいお分かりいただけるかと思います。

では、問題のsucceedですが、その後にMr. Johnsonという目的語がありますから、これが他動詞として使われていることが分かります。

実は、succeedの他動詞には、「成功させる」という意味はなく、他動詞としては「(人の)後を継ぐ」「(人の)後任になる」という意味になります。

したがって、上記用例は「スミス氏は、現在その会社の社長であるジョンソン氏の後継者になる良い位置につけている」という意味になるわけです。

多くの企業では、「後継者育成プラン」と呼ばれる将来の経営者育成計画を作成しています。

そうした計画のことを英語ではsuccession planと呼びますが、それはまさにこのsucceedの他動詞の意味からきているのです。

point
succeed=「(人の)後を継ぐ」「(人の)後任になる」

⑳resign=辞任する?

用例:He resigned himself to his fate with dignity.
(彼は威厳をもっと自らの運命を甘受した。)

残念ながら、日本ではいつまでたっても政界、官界、経済界における不祥事は一向になくなる気配がありません。

アメリカでも状況は基本的に同じで、いろんな人がいろんな過ちを犯しては、その責任を取ったり取らされたりして辞任していきます

このように、ある人が不祥事を起こしてその職を辞任するときの英語として使われるのは、皆さんもよくご存じのresignという単語です。

もちろん、この単語は「辞任する」という意味でよく使われるのですが、ここでもう1つの重要な意味をご紹介しておきたいと思います。

もっともその場合、これはresignという一語ではなくresign oneself toという形をとるのですが、このときのresignは「辞任する」とはまったく違った意味になります。

上記用例のresignはどういう意味で使われているのか、お分かりになりましたでしょうか?

実は、resign oneself toというのは平易な英語で言えば、to accept that something undesirable cannot be avoided(望ましくない状態が不可避であることを受け入れること)ということで、日本語で言えば「~を諦める」「~を甘受する」という意味になるのです。

つまり、上記用例は、「彼は威厳をもっと自らの運命を甘受した」という意味になるわけです。

このように、resignには2つの主要な意味があるため、その名詞形であるresignationにも2つの意味があります。

1つは「辞任」で、もう1つは「諦念」という意味です。

なお、「諦念」という言葉を聞けば、文学好きの方なら森鴎外のことを思い出されるかもしれません。

森鴎外は自身、軍人でありながら同時に文学者でもあった人ですが、個人と社会、あるいは個人と組織の葛藤の中で大変苦労した経験があり、そうした経験を経て自らの置かれた立場や状況を甘受するという「諦念」という考えにたどり着きました。

そして、その「諦念」のことを鴎外はドイツ語で「レシグナチオン(resignation)」と称したのですが、言うまでもなく、この「レシグナチオン」こそは、英語の「レシグネーション」のことなのです。

point
resign=「~を諦める」「~を甘受する」

この動詞にこんな意味があったとは③に続く

この動詞にこんな意味があったとは①

本項では、皆さんがよくご存知の英語の動詞の中から、この動詞にこんな意味があったとは思いもよらなかったというものばかりをご紹介していきたいと思います。

まさに「眼からウロコが落ちる」ような動詞の意味ばかりです。

意外な意味の動詞①

①buy=買う?

用例:She said she was sorry, but I don’t buy it.
  (彼女はごめんなさいと言ったが、私は信じない。)

皆さんは、「buy」という単語を見れば、条件反射的に「買う」という日本語を思い浮かべるのではないでしょうか?

もちろんそれで正しい場合もあります。

しかし、英米人とビジネスの現場や日常会話で、さらには英字新聞や英文雑誌を読んでいるときにこの「buy」という単語に出会ったとしても、おそらく「買う」という意味では使われていないのです。

では上記用例のbuyはいったいどのような意味で使われているのでしょうか?

すでにおわかりかもしれませんが、このbuyは誰かの意見や見解に対して「~を信じる」「~に賛成する(賛同する)」という意味になるのです。

つまり、「buy」は「believe」とほとんど同じ意味になります。

ということで、上記用例は、「彼女はごめんなさいと言ったが、私は信じない」という意味になるわけです。

アメリカ人と議論していると、I don’t buy your augument.(あなたの意見には賛成できない)などと言われることがあります。

そんな場合、彼らは必ずその後に「because~」というように、なぜ賛成できないのか、とにかくその理由を述べようとします。

しかし、その理由に説得力がなく、ただ感情だけで反対していると思われるようなケースもよくあります。

そんな場合には、これを逆手にとってI don’t buy your augument either.と切り返すと効果的でしょう。

ただし、そんな場合でも、なぜ相手の意見に賛成できないのかということについて明確に言うことが重要ですので、「because~」以下でしっかりその理由を挙げることが大切です。

point
buy=「~を信じる」「~に賛成する(賛同する)」

②produce=生産する?

用例:When you come up to a passport-check counter at an
   airport, you should expect to be asked to produce
   your passport.
  (空港の出入国カウンターに行ったら、パスポートを提示しない
   といけません。)

「produce」という単語を見たとき、皆さんはきっと、「何かを作り出す」「生産する」という意味を思い浮かべるのではないでしょうか?

もちろん、それで間違いではありません。

今でも、この単語はその意味で用いられることが多いのは確かです。

しかし、そうした基本的な意味と同様に、この単語の意味として非常によく使われるものがもう1つあります。

では、上記用例ではそれがどんな意味で使われているのか考えてみましょう。

空港のパスポートチェックの係員から「produce your passport」といわれても、その場でパスポートを「作る」ことなどできないのですから、これがproduceの普通の意味で使われていないことはおわかりいただけると思います。

実はproduceには「作る」「生産する」という意味の他に、「提示する」「取り出して示す」という意味があるのです。

つまり、上記用例は、「空港のパスポートチェックカウンターに行くときには、パスポートの提示を求められると思っていた方がよい」という意味になるわけです。

アメリカではいろいろな機会に、運転免許証やパスポートなどの身分証明書(ID)の提示を求められます。

例えば、アメリカでは白人警官が運転をしている黒人などを挙動不審だとして止め、それが警官による暴行事件につながることもしばしばあります。

そうした際に、警官が運転者にまず求めるのが免許証の提示なのです。

また、日本では考えられないことですが、アメリカでは誰かと面談するためにその人がいるビルまで出向くと、1階の受付で係の人からProduce your ID, please.と身分証明書の提示を求められることがあります。

決して「この場で自分の身分証明書を作れ」という意味ではないのでご注意ください。

point
produce=「提示する」「取り出して示す」

③compromise=妥協する?

用例:The leak to the media put our nation’s military
   secrets at risk and compromise our national security.
  (メディアに情報が漏れたことは我が国の軍事機密を危機にさら
   し、わが国の安全保障を損なうことになった。)

「compromise」という単語を見れば、条件反射的に、「妥協する」という意味を思い浮かべるという方が多いのではないでしょうか?

しかし、英文雑誌や英字新聞を読んでいてこの単語に出会ったとしても、皆さんが通常思い浮かべる「妥協する」という意味で使われることはあまりありません。

もちろん「妥協する」という意味で使われる場合もあるのですが、それよりもはるかに多い頻度で使われるのが上記用例のような意味なのです。

用例中のcompromiseを通常使われている「妥協する」という意味に解釈しては、文章全体の意味は理解できませんよね?

それも当然のことで、実はこのcompromiseは「損なう」「損害を与える」「傷つける」といった意味で使われているのです。

ということで、上記用例の意味は、「メディアに情報が漏れたことは我が国の軍事機密を危機にさらし、わが国の安全保障を損なうことになった」ということになるわけです。

実際、新聞や雑誌、さらにはテレビなどのメディアでcompromiseが使われるときには、「妥協する」という意味で使われることはむしろ例外的であり、「損なう」「傷つける」という意味で使われるのが一般的です。

point
compromise=「損なう」「損害を与える」「傷つける」

④betray=裏切る?

用例:Trump’s words betray indecency toward parents
   grieving the loss of their son.
  (トランプの言葉は息子を亡くしたことを深く悲しむ両親に対し
   て、彼がいかに不作法であるかを示している。)

「betray」という単語も、なかなかのくせ者です。

おそらく、betrayは「裏切る」という意味で記憶されている方が多いのではないかと思いますが、実際の英文雑誌や新聞の記事では「裏切る」という意味で使われることはあまりありません。

では、実際の生きた英語ではbetrayはどのような意味として使われているのでしょうか?

まず、上記用例のbetrayは「裏切る」という、皆さんご存知の意味とは全く違った意味で使われているのです。

少し難しいかもしれませんが、一度解読にトライしてみてください。

少し難しい語句がありますので、簡単にご説明しておきましょう。

indecencyは「不作法」のことで、grieveは「深く悲しむ」「悲嘆にくれる」という意味です。

そして、loss of their sonというのは「息子を亡くすこと」という意味です。

これで文の大意はお分かりいただけたかと思いますが、問題はbetrayの意味をどう解釈するかです。

正解を申し上げますと、この「betray」は「裏切る」とはまったく関係なく、「示す」「表す」「露呈する」という意味なのです。

すなわち、上記用例は「トランプの言葉は息子を亡くしたことを深く悲しむ両親に対して、彼がいかに不作法であるかを示している」という意味になるわけです。

ということで、betrayは基本的にshowと同じ意味だとお考えいただければいいのですが、ここで1つだけ注意していただきたいことがあります。

それは、showとbetrayはどちらも「~を示す」という意味で使われるのですが、その使われ方には多くの違いがあるということです。

具体的には、showの場合は、そのあとに「示す」内容は良いことでも悪いことでもどちらでも可能であり、ある意味で価値中立的であると言えます。

その一方、betrayの場合は、その後にくるものが、基本的には否定的あるいは悪いことを示す内容になることが多いのです。

なお、betrayには「示す」「裏切る」という意味の他に、betray a secretという表現があるように、「(秘密などを)漏らす」「密告する」という意味でもしばしば使われますので、これもぜひこの機会に覚えていただければと思います。

考えてみれば、秘密を漏らしたり、密告したりすれば、それはだれかを裏切ることになるわけですから、betrayの意味として「秘密などを漏らす」「裏切る」の2つが入っていても不思議ではないですよね。

point
betray=「損なう」「損害を与える」「傷つける」「(秘密などを)漏らす」「密告する」

⑤allow=許す?

用例:I have to allow that money causes problems in
   marriage, often resulting in divorce.
  (お金の問題が結婚では様々な問題を生じさせ、それがしばしば
   離婚に結び付くということを、私も認めなければならない。)

「allow」という単語については「~を許す」「~を許可する」という意味で記憶されている方が多いのではないでしょうか?

しかし、残念ながら、それだけでは十分ではありません。

allowには、それ以外にも非常によく使われるもう1つの重要な意味があるのです。

では、それがどんな意味で使われているのか、上記用例で確認してみましょう。

念のため、簡単に語句の説明をしておきますと、causeは「~を引き起こす」「~の原因になる」という意味です。

それから、result inは「~という結果になる」ということで、divorceは「離婚」のことです。

これでだいたいの文意はお分かりいただけたのではないかと思いますが、一番の難関はallowの意味をどう理解するかです。

全体の文章の意味から考えて、これが通常の「~を許す」「~を許可する」という意味でないことはご理解いただけると思います。

では、このallowはどういう意味なのでしょうか?

実は、このallowは「~を真実として認める」という意味なのです。

特に英文雑誌や新聞などでは、allowが「~を真実として認める」という意味で使われている記事にしばしば遭遇します。

ということで、上記用例は「お金の問題が結婚では様々な問題を生じさせ、それがしばしば離婚に結び付くということを、私も認めなければならない」という意味になるわけです。

なお、このような物事を「真実であるとして認める」という意味のallowの類義語としては、admit、accept、concedeなどがあり、allowとほぼ同じ意味で使われています。

point
allow=「~を真実として認める」

⑥arrest=逮捕する?

用例:If a cold war were to develop between the United
   States and China, it would arrest progress for a
   generation on both sides of the Pacific.
  (もしアメリカと中国の間で冷戦になれば、太平洋の両岸にある
   両国で、一世代の間、進歩を止めることになるだろう。)

学校教育や受験勉強では「arrest=逮捕する」と条件反射的に覚えた方が多いのではないでしょうか?

ストレートニュースが多い日本の新聞記事では、「誰々が逮捕された」という文章がよく出てきますが、分析や評論に重点を置いた欧米の新聞や雑誌記事では「誰々が逮捕された」という事実だけを報道してもあまり評価されないためか、「逮捕する」という意味でarrestに出くわすことはそれほど多くありません。

それではarrestはあまり使われないのかというと、もちろんそんなことはありません。

今でも大変よく使われている単語です。

ただ、それは、皆さんが覚えているのとは違う意味で用いられているのです。

では、それがいったいどういう意味で用いられているのか、上記用例で確認してみましょう。

まず、用例の語句から簡単に説明しておきますと、cold warは「冷戦」on both sides of the Pacificは「太平洋の両岸」、つまりこの用例では「米中両国」という意味になります。

あと残る問題はarrestの意味だけになりましたが、実はこのarrestは「~を止める」「~を制止する」という意味なのです。

stopと基本的には同じ意味と考えていただければよいでしょう。

ということで、上記用例は、「もしアメリカと中国の間で冷戦になれば、太平洋の両岸にある両国で、一世代の間、進歩を止めることになるだろう」という意味になるわけです。

なお、arrestの後にくる名詞としては、progress(進歩)のような良いものでもcrisis(危機)のような悪いものでもどちらでも可能です。

また、このように、「止める」という意味があることからarrestは「人の目を引く」という意味にも使われています。

したがって、ふと目にした女性が大変美しく、目を奪われた場合などには、She is arrestingly beautiful.と言うことができます。

point
arrest=「~を止める」「~を制止する」「人の目を引く」

⑦check=チェックする?

用例:Government has called upon health officials to check
   the spread of the epidemic disease.
  (政府は保健衛生関係者に対して、感染症の広がりを阻止するよ
   うに要請した。)

英文の中で「check」という単語を見ると、普通は日本語としても一般に使われている「チェックする」「確認する」「調べる」という意味を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。

しかし、checkには、それと同じぐらいの頻度で使われるもう1つの重要な意味があるのです。

いつものように、上記用例の語句から簡単に説明しておきますと、call uponというのは「~を要求する」「~に求める」という意味で、非常によく使われる句動詞です。

それから、health officialsというのは「保健衛生関係の役人」のことで、spread of the epidemic diseaseとは「感染症の拡大」のことです。

さて、後に残るのはcheckの意味だけですが、「感染症の拡大」をcheckするとはどういう意味なのでしょうか?

実は、このcheckは「~を阻止する」「~を止める」という意味で、前項で取り上げたarrestとほぼ同じ意味なのです。

ということで、上記用例は、「政府は保健衛生関係者に対して、感染症の広がりを阻止するように要請した」という意味になります。

用例ではcheck the spreadとなっていますが、これはprevent the spread、stop the spread、arrest the spreadなどと言い換えることができます。

なお、checkに「~を阻止する」という意味があることを知って驚かれた方も多いと思いますが、よく考えてみると、実はほとんどの方がcheckにそういう意味があることをご存じのはずなのです。

というのも、皆さんは中学や高校の社会や公民の授業で「三権分立」について学習されたと思いますが、これに関連して「抑制と均衡」という概念があることをお聞きになったと思います。

実は、この「抑制と均衡」というのは、英語の「checks and balances」を訳したもので、まさに、check=「抑制する」「阻止する」ということだったのです。

point
check=「~を阻止する」「~を止める」

⑧own=所有する?

用例:She was defeated badly in the last election. She has
    to own it.
  (彼女は前回の選挙でひどく負けてしまったのだから、それを認
   めなければならない。)

「own」という単語も少しトリッキーです。

おそらく、皆さんも、動詞としてはown=「所有する」、また形容詞としてはown=「自身の」「独自の」という意味で覚えておられるのではないでしょうか。

もちろん、ownはそうした意味でも非常によく使われていますが、これらの意味以外にも、すぐには思いつきそうもない重要な意味があるのです。

上記用例の語句については特に難しいものはないかと思いますが、念のため、簡単に説明しておきますと、まずdefeated badlyは「ひどく負ける」ということです。

なお、badlyは文字どおりに訳せば「悪く」という意味ですが、そうした文字どおりの意味ではなく、物事の程度などが「ひどく」「激しく」といった意味で用いられることがしばしばあります。

それから、in the last electionというのは「前回の選挙で」という意味です。

ということで、問題は文章の最後のhas to own itだけとなりました。

用例の最初の文章の意味から考えると、このownが「所有する」という通常の意味でないことは明らかですよね。

実はこのownは「~を認める」という意味なのです。

他の単語で言えば、多少ニュアンスの違いはありますが、admit、concede、accept、acknowledge、agree、confessなどといった単語とだいたい同じ意味になります。

ということで、上記用例は「彼女は前回の選挙でひどく負けてしまったのだから、それを認めなければならない」という意味になるわけです。

実際、英文雑誌や新聞などの時事英語では、ownが「~を認める」という意味で使われることは非常に多くなっています。

ownという単語が動詞として出てきて、それが「所有する」という一般的な意味でない場合は、かなりの確率で、「認める」という意味で使われていると考えていいでしょう。

ただ、厄介なことに、ownには「所有する」「認める」という意味の他にもう1つ、皆さんがあまりご存じでない重要な意味があるのです。

では、それはどんな意味なのでしょうか?

次の新聞の見出しをご覧ください。

How Marco Rubio owned Jeb Bush in Wednesday’s GOP debate

さて、この見出しに使われているownの意味がお分かりになりましたでしょうか?

これは前回のアメリカ大統領選で、共和党(GOP)が大統領候補選びの一環として候補者間で討論会を開催したときの新聞記事の見出しから取ったものです。

そのときの候補者の一人であったマルコ・ルビオが同じく候補者の一人であったジェブ・ブッシュを「own」したと書いていますが、これはいったい、どういう意味なのでしょうか?

どうも、この場合のownの意味は「所有する」でも「認める」でもなさそうです。

実は、ここでのownは「~を打ち負かす」という意味で使われているのです。

ownには、特に議論や競技などで相手を徹底的に打ち負かすという意味があり、まさにこの見出しにはピッタリの単語だと言えるでしょう。

point
own=「~を認める」「~を打ち負かす」

⑨negotiate=交渉する?

用例:I negotiated my way out of the traffic jam in the city
   center.
  (私は街中の交通渋滞をうまく切り抜けることができた。)

「negotiate」という単語は「交渉する」という意味で使われる場合が多いのですが、この他にもう1つ覚えていただきたい重要な意味があります。

では、それはどんな意味なのか、まずは上記用例をご覧ください。

この用例でnegotiateがどういう意味で使われているかお分かりになりましたか?

少なくとも、皆さんが日ごろ慣れ親しんでいる「交渉する」という意味でないことは何となく感じていただけたのではないでしょうか?

語句については特に難しいものはないと思いますが、1つだけ補足しておきますと、traffic jamというのは「交通渋滞」のことです。

あとは、negotiate my way out ofの部分をどう訳すかですが、このnegotiateを通常の「交渉する」という意味に理解しては文意が通じませんよね。

それも当然で、実はこのnegotiateには「~をうまく切り抜ける」「~を克服する」という意味があるのです。

他の単語で言えば、navigate、overcome、clear、get around、get overなどが、それに近い意味だと言えます。

ということで、negotiateにこのような意味があることがわかれば、上記用例は、「私は街中の交通渋滞をうまく切り抜けることができた」という意味であると理解できるわけです。

皆さんが英文を読んでいて、negotiateという単語が出てきたとき、もし「交渉する」という一般的な訳語では意味が通じない場合は、その多くは、このような「~をうまく切り抜ける」「~を克服する」という意味で使われていると言っていいでしょう。

point
negotiate=「~をうまく切り抜ける」「~を克服する」

⑩throw=投げる?

用例:Throwing an event can seem like a daunting task.
  (イベントを開催することは大変な仕事のように思える。)

「throw」といえば、「投げる」という意味に決まっているではないかと思われる方が多いようですが、実はこの単語もなかなか奥が深いのです。

throwが「投げる」という意味で使われる場合というのは、やはりスポーツなどの、肉体の動きに関する記事が中心になります。

では、英文雑誌や新聞でthrowという単語は使われないのかというと、もちろん、そんなことはありません。

むしろ非常によく使われる単語の1つだと言ってもいいくらいです。

では、throwという単語はどんなときに、どんな意味で使われるのか、まず上記用例で確認してみましょう。

throwは冒頭のところで出てきますが、throw an eventとはどういう意味なのでしょうか?

実は、この場合のthrowは「~を開催する」という意味で使われているのです。

つまり、上記用例は「イベントを開催することは大変な仕事のように思える」という意味になるわけです。

こうした意味でthrowが使われることは非常に多く、throw an eventの他にも、throw a party、throw a conferenceなどという表現もよく出てきます。

このように、throwには「投げる」という意味以外に、「~を開催する」という意味があることをご紹介しましたが、throwにはこれ以外にもう1つ非常に重要な意味があるのです。

以下の用例をご覧ください。

Mr, Trump struggled to answer the substance of Mrs. Clinton’s criticism, and often appeared thrown by her attacks.

これは、ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンの両候補の間で戦われた2016年のアメリカ大統領選に関する記事の一部から取ったものです。

第1回目の大統領候補討論会で、クリントンがトランプを批判したことに対して、トランプが意味のある反論ができず、たじたじとなったことを伝えた場面です。

問題のthrowは、ここではthrown by her attacksという過去分詞形で出ていますが、このthrowは「投げる」という意味でも「開催する」という意味でもありませんよね。

実は、thrown by her attacksで「彼女の攻撃に面食らった」という意味になるのです。

つまり、このthrowは「~を面食らわせる」「~を狼狽させる」「~を動揺させる」という意味なのです。

この意味のthrowもよく使われますので、ぜひこの機会に覚えておいてください。

point
throw=「~を開催する」「~を面食らわせる」「~を狼狽させる」「~を動揺させる」

この動詞にこんな意味があったとは②に続く

日本人が間違えやすい英単語

英語であれ日本語であれ、言語というのは1つひとつの単語が連結されてある一定の意味を成すようにできています。

つまり、どんな言語においても最も基本になるのは、1つひとつの単語であるということです。

もちろん、英語のような外国語の勉強にあたって重要なことは、単語を覚えることだけではありません。

言うまでもなく、文法の勉強も大変重要です。

文法を勉強しなければ、個々の単語がそれぞれどのような関係性のものに結び付き、1つの文章として意味を持つようになるのかということが理解できません。

しかしながら、言語の基本構造である文法を完全に理解したとしても、1つひとつの文章を構成する個々の単語の意味が分からなければ、文章を理解することはできません。

その意味では、特に英語のような外国語を勉強する場合には、まずは単語をできるだけ多く覚えることが何よりも重要になってきます。

皆さんもご自身の過去の英語の勉強を振り返ってみたとき、中学で英語の勉強を始めて以来、何よりも時間をかけて勉強したのは英単語を覚えることだったのではないでしょうか。

なぜ日本人は、英文の意味がとれずに固まってしまうのか?

そのような受験生の英単語学習への強い思いがあったからこそ、数ある受験参考書の中でも特にこうした英単語関連本が受験生のバイブル的存在になったのであり、このことからも、英単語を覚えることがいかに重要だったかということがお分かりいただけるかと思います。

このように、これまで私たち日本人は英単語を1つでも多く覚えようと懸命に努力してきました。

では、日本人はそのような英単語をどのような方法で覚えてきたのでしょうか?

これについては、人によっては多少の違いがあるかもしれませんが、Aという英単語はBという日本語の意味になるという「A=B」という1対1方式で覚えてきた方が多いのではないでしょうか。

もちろん、そうした単語の覚え方が必ずしも間違っているわけではありません。

英語と日本語の単語は語源的にも全く関係がありませんので、基本的には英単語の意味は丸暗記して覚えていくしかありません。

そうした英語と日本語の違いを考えると、「英語A=日本語B」という形で単語の意味を覚えていくのは、それなりに効率的だったと言えると思います。

ただ、その一方で、こうした英単語の覚え方には大きな問題もあります。

それは、このように英単語と日本語の意味を1対1で対応させて覚えてしまうと、自分が覚えている意味とは違った意味でその英単語が使われている場合、そこで思考停止に陥ってしまい、全く手も足も出なくなってしまうことです。

Aという英単語はBという日本語の意味であると「A=B」という形で意味を固定化して覚えてしまうと、その単語にそれ以外の意味があるということに想像力が働かなくなってしまいます。

実際の英語では「第1の意味」以外で使われる方が多い?

実際、アメリカの新聞や雑誌で使われる時事英語や、アメリカ人の日常会話などにおいては、皆さんがよくご存知の英単語の多くが、皆さんが覚えている意味とは全く違った意味で使われていることが非常に多くなっているのです。

仮に、皆さんがよく覚えている英単語の意味を「第1の意味」だとすれば、これらは「第2の意味」というべきものです。

こうした英単語の「第2の意味」を覚えておくと、これまで理解できなかった英文が見違えるように理解できるようになります。

これまで、皆さんも英文を読んでいて、英単語の「第1の意味」しか知らなかったために、どんなに一生懸命考えても文意が通じないという経験をしたことがあったと思います。

そんな場合には、そこで思考停止に陥ってしまい、それ以上なかなか英文を読み進めることができなくなってしまったのではないでしょうか。

しかし、「第2の意味」を知っていれば、そんな英文についても、まるで霧が晴れたかのように文意が理解でき、スラスラと読み進めていくことができるようになります。

以降、皆さんがよくご存じの基本的な英単語を中心に、「この英単語にこんな意味があったとは知らなかった」と、皆さんがきっと驚かれるような単語を集めてご紹介していきます。

英語での会話力をつけよう

会話力をつけるポイント

①知っていて使えないのはなぜか?

英語しか通じない世界で生活するとします。

すると、どんなにわずかな英語力しかなくてもそれで何とかやっていくしかありません。

日本語は通じません。

だから、日本語は忘れて英語だけでやり取りを行うという覚悟を決めることが必要となります。

英語力を身に付けるには、実際に英語を使うことが必須です。

英語の知識というか英語の駒については自分で思っている以上にたくさん知っているはずです。

知っている英語の駒を過小評価してしまい、それを十分に使おうとしないところに、英語が話せないという根本原因があると思います。

実際に、「どうも英語はダメで」という人でもかなりの英語の知識を持っているものです。

試しに動詞、形容詞、副詞、前置詞でどれくらい知っているかを考えてみると、その数の多さに気が付くと思います。

動詞を例にとってみるとmake、break、have、get、hit、stand、eat、drinkなどはほとんどの人が知っている単語だと思います。

実際には、こうした動詞を使ってかなりの表現活動ができるのです。

前置詞の場合には、in、on、by、over、under、along、around、about、for、to、with、ofなど大切なものはほぼ全部知っているはずです。

形容詞や副詞についても同じことがいえます。

これに名詞を含めると、名詞だけで、知っている数は軽く2000語ぐらいになるはずです。

単語だけではありません。

文法についても、主語+動詞+α(目的語や補語)の語順だとか、and、but、soやwhen、if、becauseなどの接続詞を使って節をつなげるだとか、現在進行形だとか現在完了形といった時制など、たくさんのことを知っているはずです。

要はそういった既知の英語の知識を活用しながら実践の場で英語を使うのにはどうしたらよいか、ということです。

そのために、逆発想で、知っているのに使えないのはなぜか、考えてみるといいでしょう

大きな理由は3つあります。

1. 英語学習は英語について知ることだという勘違い

そもそも英語の学習は、英語について知ることだと考え、知識を実践の場で役立てようとしないことです。

あるいは、役立てる機会を持っていないか、機会があってもそれを利用しないかです。

学校で学ぶ知識としての英語と実際に言葉として使われる英語の間には大きなズレがあり、そのズレは実際に使うことによってしか埋めることができません。

2. 言葉が出てこなかった体験が話すことから遠ざける

実際に英語で何かを話そうとしても英語が出てこないということを何回か経験し、話せないと決めつけているということがあります。

いきなりしゃべろうとしても思いを英語にすることができないということです。

恥ずかしいとか面倒くさいという思いが先行して、結局、英語を使う機会を逸してしまいます。

3. 相手に理解してもらえなかった経験を繰り返し自信喪失

せっかく英語で何かを表現しても、相手に理解してもらえないという経験を繰り返せば、英語を話すことに対して引いてしまいます。

発音が悪くて伝わらないということもあるし、自分が組み立てる英語が相手にわかりにくいということもあるでしょう。

発音については、もちろん、英語のイロハとなるポイントは訓練によって押さえておく必要があります。

日本語にない音を無理やり日本語的に発音しても、それは英語ではないので理解されないでしょう。

また、強弱のはっきりした英語のリズムは体得しておく必要があるでしょう。

問題は、発音より、自分の組み立て方が悪くて、英語が相手に伝わらないというケースです。

②会話力をつけるふたつの方法

では、どうやって知っている英語を使える英語にすればよいのでしょうか?

上で述べたように、英語でなければ伝わらない世界にいるという想定をしてみてください。

そこでは「日本語には戻らない、自分の英語で何とかする」といった覚悟を決めることがまず肝心です。

そのうえで、上記の3つの問題を克服する手掛かりは、思いつくことを英語で表現していく、情報を次々に足していくということです。

1. 英語の情報配列をテンプレートとして使う

ここではふたつのことがポイントとなります。

そのひとつは、英語の情報配列の語順をテンプレートとして使うということです。

そして、もうひとつは、思いついたことをそのまま英語で表現するということです。

でたらめにではなく、基本的語順の流れは守るというのが制約条件です。

まず、英語の基本的語順は以下のように表すことができます。

「副詞情報→主語情報→動詞情報→α→副詞情報」

ここで重要なのは主語を立てるということです。

つまり、「誰が(何が)どうした」という発想に慣れるということです。

「寿司が食べたいな」「寿司で何が好き?」は自然な日本語ですが、そのまま英語にすることはできません。

主語を立てる必要があります。

「僕は寿司を食べたいな」「あなたはどんな寿司が好き?」と発想すればよいのです。

すると、I want to eat sushi.、What kind of sushi do you like?でとりあえず思いは伝えることができるでしょう。

I feel like eating sushi.やWhat’s your favorite kind of sushi?でもいいでしょう。

ただ、ここでは主語を立てるというポイントを示すため、日本語の発想を英語的な発想に置き換えるといった説明をしましたが、日本語に振り回されないということが重要です。

日本語で考えてしまうと、英語表現はそれに影響を受けてしまいます。

和文英訳をするのではなく、英語の駒を活用して、表現活動をするという発想に切り替えることです。

いずれにせよ、英語の情報配列をテンプレートとして使い、そのために主語を立てるという発想を身につけるというのが第一のポイントです。

日本語を英語的に置き換えるという作業は主語を立てる訓練としては有効でしょう。

しかし、英語を話す際には、日本語をシャットアウトするほうが断然しゃべりやすくなります。

2. 慣用表現を使う

第二のポイントとして、慣用表現に注目することです。

相手に好きなものを聞くときにはDo you like…? What is your favorite…?を慣用表現としてストックしておけば、日本語を英語に置き換えるという作業をしなくても、「相手に好きな寿司を聞きたい」という思いがあれば、ストックされているWhat’s your favorite…?を取り出してWhat’s your favorite sushi?と直接聞けばいいのです。

ストックとしての慣用表現をフローとしての表現を作るのに活用するということです。

例えば、未来を展望して何かを語る際の慣用表現として以下が記憶にストックされているとします。

・I’m going to do…(~することになっている)
・I will do…(~する)
・I’ll be doing…(~することになるだろう)
・I want to do…(~したい)
・I’m scheduled to do…(~する予定にしている)
・I’m planning to do…(~することを計画している)
・I intend to do…(~するつもりだ)

すると、今日の午後に、ヒルトンホテルでジョンソン博士と会う予定が入っているとします。

この状況を英語で表現するのに、ストックされた慣用表現からどれかを意図に合った形で選ぶといいですね。

「予定表でそうなっている」ということを伝えたければ、I’m scheduled to…を使い、I’m scheduled to meet Dr. Johnson.と表現するでしょう。

このままでは「今日の午後」this afternoonと「ヒルトンホテルで」at the Hiltonの情報が表現されていませんが、文頭か文尾の副詞情報の位置にもってくるといいですね。

・Well, this afternoon, at the Hilton, I’m going to meet Dr. Johnson.
・I’m scheduled to meet Dr. Johnson at Hilton this afternoon.

こうした副詞情報は文尾に持ってくる方が文章としては落ち着きますが、会話などでは、思いついたことをそのまま表現するというのが原則であるため、Well, this afternoon, at Hiltonのように断片的に情報が示されるということもあるでしょう。

ここでのポイントは、「予定を表す」ためにI’m going toやI’m scheduled toを活用することで、「私は今日の午後、ヒルトンでジョンソン博士と会う予定です」のような日本語を作り、それを英語に翻訳するという和文英訳の発想から脱することができるということです。

自分の予定なのでI’m going toやI’m scheduled toが慣用表現としてすぐに出てくれば、和文を英訳するという感覚とはだいぶ異なった表現活動になります。

③和文英訳の発想ではどうしてだめなのか?

ここで少し和文英訳の発想がどうしてダメなのかについて説明します。

ひとことで言えば、和文英訳は自然な英語表現の阻害要因となるからです。

その理由はふたつあります。

1. 日本語の表現が英語で表現する際の足かせになる

第一に、上でも触れたように、日本語の表現が英語で表現する際の足かせになるということです。

例えば「そんなことしていただいて、大変恐縮しております」という日本語を英語にしようとすれば、「~していただいて」の部分や「恐縮しております」の部分がネックになりますね。

あえて直訳調に英語にすればI’m awfully sorry for your kindly having done that for me.がその候補かもしれませんが、不自然です。

日本語の文を英語にしようとするのではなく、気持ちや意図を慣用表現の活用を通して伝えるといいのです。

ここでは「感謝の気持ち」を表現したいわけで、I don’t know what to say, but thank you so much for your kindness.ぐらいでいいでしょう。

「どういったらいいか、でもあなたの親切に本当に感謝しています」といった感覚ですね。

ちなみに、I don’t know what to say, but…やThank you so much for…は慣用表現です。

2. 「文を作り、それを発話する」行為は会話の自然さを阻害する

和文英訳が英語表現の阻害要因になる二つ目の理由は、「文を作り、それを発話する」という行為の不自然さにあります。

和文英訳的な発想では、心の中で表現したい思いを日本語の文にして、それを英語に翻訳、そして、その英語の文を発話する、という流れになります。

「彼女は3か月入院した後で仕事に復帰したけれど、仕事に慣れるのにだいぶ時間がかかるだろう」という思いを表現したいとします。

この日本文は、完成された文です。

しかし、会話場面では、文は結果であって、表現の手段ではありません。

思いを即行で表現にして、組み立てていきます。

その過程で、言い直したり、言いかけたことをやめたり、軌道修正も自由に起こります。

情報の断片的な追加と情報の軌道修正は自然な言語活動です。

和文英訳方式と慣用表現を用いる方式を比較すると、違いは歴然としています。

和文英訳だと頭の中での作業に時間がかかるため、不自然な間が生まれ、会話の流れが途絶えます。

また、完成した文を発話するということは、改まりすぎて、不自然で、会話のやりとりに弾みがつきません。

会話は相手との協働作業です。

こちらが何かを言いかけて、言葉に窮していると相手が助け舟を出してくれることがあるでしょう。

相手が話している途中で突っ込みを入れたくなることもあるでしょう。

相手の発言を訂正することもあるでしょう。

会話は予定調和的には進みません。

偶発性があるから、会話は面白いのです。

会話力を身につけるという観点からはポイントはふたつです。

第一に、会話は独白ではなく対話だということをはっきり自覚することが大事です。

当たり前のことですが、これは大切なポイントです。

英語を一生懸命作ることに夢中になり、相手の存在が希薄になることがあるのではないでしょうか。

第二に、会話において軌道修正は日常茶飯事に行われる常態だということを理解することです。

例えば、I guess she needs…と言いかけて、その構文を放棄して、it will take some timeと表現を組み立て直し、さらにI meanやyou knowを埋め草的に入れて表現を調整します。

繰り返すと、完全な文を連鎖させることで会話は展開するのではありません。

文字なら間違ったら消すことができますが、言ったことは消すことができません。

編集の必要があれば、それは話しながら編集をしてつじつまを合わせていくのです。

この二つのポイントを念頭に置き、慣用表現を最大限に活用しながら自分の英語を表現する。

これが会話力を鍛えるカギになります。