動詞の原形について考えてみよう

動詞の原形について考えてみよう

1. 動詞の原形を考える

動詞の原形って一体何なのでしょう?

動詞の原形は、現在形でもなければ過去形でもありません。

初めて習った時は一体なぜこんなものがあるのか不思議でした。

現在の話を表すために現在形があり、過去の話を表すために過去形がある。

では原形って何なのか?

動詞の原形は、現在も過去も表しません。

動詞から「時間」を差し引くと、その残りは「『○○する』とはどういう動作なのか?」という「動作の概念」です。

例えば、「液体を、口を通して体内に取り込むこと」の名札が「飲む」という動詞名であり、これは名詞で言えば、例えば「4月に咲く日本人が最も愛する花のこと」の名札が「桜」という名詞名だというのと同じようなものです

つまり動作の「こと」化、名詞化が起こり、ここから動詞の原形を名詞として使う、不定詞の名詞的用法が生まれたと考えられます。

不定詞には名詞的用法の他に形容詞的用法や、副詞的用法もありますが、不定詞の中で一番初めに生まれた用法は、ラテン語などでもそうですが、名詞的用法です。

To walk is good for your health.(歩くのは健康に良い)
To know is one thing, and to practice is another.(知っているということと、実践するということは、また別の話です)
⇒いずれも「歩く」「知っている」「実践する」というのはどういうことなのかという「概念」の話をしています。

英英辞典でも、動詞の意味を解説するときは、不定詞の名詞的用法であるto+動詞原形を使います。

そうやって動詞の「概念」部分を説明するわけです。

eat:to put food in your mouth, chew it and swallow it.
「食べる:食べ物を口の中に入れ、噛み、飲み込むこと」
⇒「食べる」という行為をいつやるのかはどうでもよくて、「食べる」とはどういう行為なのかということだけを説明するのに「to+動詞の原形」が使われています。

「まだやっていない」ことを表す傾向

動詞の原形は、全体的な傾向として「まだやっていないこと」を表すことが多いようです。

to+動詞原形は「これからやること」を意味することが多いですね。

I want to eat something.(何か食べたい)
⇒何か食べたいと思う(want)のは今だけど、食べるのはこれから。

命令文も動詞の原形です。

Stop!(止まれ!)
⇒今やっていないことをこれからやれ、ということ。

仮定法現在と呼ばれる用法も動詞原形で、主節の動詞には「やれよ」を意味する言葉がきます。

これはshouldが省略されたものではなく、純粋に仮定法現在という活用形です。

They suggested to her that she stay with me.(彼らは彼女に、私と一緒に居たらどうかと言った)
⇒suggestedでわかるとおり、過去の話なのに、stayとなっていることに注目。これは動詞の原形です。that節の内容はsuggestが「(これから)やったらどうか」と提案しています。

動詞の原形が「まだやっていないこと」を表しがちなのは、動詞の原形とは時間から解放された、頭の中の「概念・想念」だけを意味し、そのため、「考えているだけのこと(=やるのはこれから)」という意味に結びつきやすいからと考えることができます。

助動詞の後にも動詞の原形がきます。

Yes, we can!(そう、私たちならできる!(と思ってますよ!))
⇒canの後に「do it」が省略されています。

The meeting will start at eight.(会議は8時に始まるだろう(と思います))

助動詞の後ろに動詞の原形が来るのも、上記と同じ感性がありそうです。

助動詞は「現実の話ではなく、思っているだけ」ということを表す言葉であり(例:will=~だろうなと思う、may=~かもしれないと思う、should=~するべきだと思う)、「現実にいつもそうだ(現在形)」とか、「過去に現実としてそうだった(過去形)」というふうに、事実を表す言葉ではありません・

動作の概念だけを表す動詞の原形は、「頭の中に思うだけ」という意味で、助動詞の世界と相性が良いのだと思われます。

すでに時間の概念を表していたら原形

一方で、疑問文や否定文のdoやdoesも広義での助動詞ですが、こちらはwillやcanなどの法助動詞とは違い、do、does、didが人称や時間をすでに表しているので、動詞は原形になっていると考えられます。

He swam across the river.(彼は川を泳いで渡った)
Did he swim across the river?(彼は川を泳いで渡ったのですか?)
⇒didで時間を表しているため、swimで時間を表す必要がありません。

最後にまとめます。

動詞の原形は、現在とか過去といった時間から解放された、動詞の「概念」だけを表すのであり、そこから「ものの概念」を表す名詞にならって、「動作の概念」を表す名詞的用法で使われるようになりました。

これが不定詞の起源です。

そして、動詞としても用法で見ていくと、「概念・想念」を表す動詞の原形は「頭の中に浮かんでいるだけでまだやっていない、これからやる動作」という使い方にも発展していったようです。

大昔の英語には動詞の原形にも、命令形にも、仮定法現在にも個別の活用の形があり、現在のように同じ形(=動詞の原形)ではないのですが、少なくとも、現代英語においてどれも同じ形になったのは、単なる偶然というものを超えた、認知的必然性を感じさせます。

2. 不定詞(=to+動詞原形)その1:「こちらへどうぞ」

前項で、動詞原形は「時間から解放された動詞」であり、動詞の概念(つまり、「どんな動きなのか」というイメージ)だけを持っている言葉であることをお話ししました。

そして、不定詞は、名詞的用法を起源として、形容詞的用法や、副詞的用法も生まれました。

私が中学生の時、用法について、いろいろと問題のある教え方がなされていました。

中には今でも同じ教え方をしている人がいると聞きます。

ここでは主な問題点2つを挙げてみます。

①各用法を日本語訳で教える人がいる。
⇒「~すること」=名詞的用法、「~するべき○○」=形容詞的用法、「~するために」「~して」など=副詞的用法などとしていますが、日本語訳などというものは、文脈次第でいくらでも変わります。

②「用法がわからなければ訳せない」と教えている人がいる。
⇒英語のネイティブに、用法をいちいち考えている人などいないし、日本人でも英語に慣れれば慣れるほど、用法などいちいち考えません。

働きを考える

まずは①ですが、名詞とか形容詞とか副詞とか言って用法を区別したいなら、少なくともそれぞれの品詞の働きに応じて区別できるようになりましょう

(1)名詞的用法不定詞(to+動詞原形を含むひとまとまりの意味のかたまり)を代名詞であるitで置き換えても意味が通るなら、それは名詞的用法です。
・I want to buy the car. →I want it.
「この車が欲しい」→「それが欲しい」
・The idea is to generate electricity out of wind. →The idea is it.
「風で電気を発電しようというのが狙いです」「それが狙いです」
・It is fun to swim with friends.
「友達と一緒に泳ぐのがおもしろいんだよね」
⇒to swim with friends は仮主語itの具体的内容を表します。

(2)形容詞的用法:形容詞は名詞を修飾する言葉、つまり名詞の様子を説明する言葉。「軽い情報が先、重い情報が後」という英語の語順に従い、「名詞の詳しい様子説明」である不定詞の形容詞的用法は「重い情報」として、名詞の直後につきます。要するに、名詞の直後にあり、名詞の様子説明をしている不定詞は形容詞的用法です。

He doesn’t have any power to hire or fire someone.(彼には誰かを雇ったりクビにしたりするような権力は一切ない)
⇒to hire or fire someoneは「どのようなpowerなのか」の詳しい説明です。

(3)副詞的用法その1:副詞には様々な働きがありますが、まずは、動詞の修飾、つまり動詞の様子を説明するのが主な働きです。例えば、「走る」という動詞があったら、どんな風に走るのかを説明する「速く走る」とか「友達と走る」は副詞です。

・I went to the station to see my friends.(友達に会いに駅に行った)
⇒to see my friendsはwentという動作の目的を説明しています。
・He grew up to be a rock star.(彼は大人になったらロックスターになった)
⇒to be a rock starはgrew upという動作の結果たどり着いた状態を説明しています。

(4)副詞的用法その2:副詞や形容詞の「程度」がどのくらいなのかを説明するのも副詞の働きです。例えば、「赤い」という形容詞の程度を説明する「とても赤い」は副詞です。「速く走る」という副詞の「速く」に関してどのくらい「速く」なのかを説明する「世界一速く走る」も副詞です。

His offer is too good to be true.(彼の申し出は話がうますぎる)
⇒to be true(真実であるには)は何を基準にtoo good(良すぎてダメ)なのかを説明しています。

「→」と考える

英語教師の意見で「不定詞の用法がわからなければ訳せない」という話をよく聞きますが、果たしてそうでしょうか。

不定詞のtoはすべて「→」です。

ただそう捉えればよいのではないでしょうか。

「訳す」の意味が、「正確な日本語に訳す」ということを意味するのなら、確かに用法に応じて日本語訳も変えていく必要はあります。

しかし、彼らの話を聞いていると、「英語の意味を理解する」という意味で「訳す」という言葉を使っているように思える方もたくさんいます。

英文を読んだり聞いたりして、ただ意味を理解するだけなら、むしろ日本語に置き換えることは頭の中でマルチタスクを引き起こし、かえって意味の理解の妨げになります。

[名詞的用法]
・My plan is to hire more people for the project.(そのプロジェクトのためにもっと人を雇う、というのが私の計画だ)
⇒「私の計画はこちらですよ(→)」という感じ。
・It is impossible to finish it in a day.(それを1日で終わらせるのは不可能だ)
⇒「それって不可能ですよ。それを1日で終わらせることに向かうのは」という感じ。

[形容詞的用法]
This pair of pants don’t have any pockets to cut things in.(このズボンには物を入れるポケットが1つもない)
⇒「このズボンにはポケットが1つもないですよ。それって物を入れることに向かうやつですけど」という感じ。

[副詞的用法]
I went to the supermarket to buy some food.(食べ物を買うためにスーパーへ行った)
⇒「スーパーへ行ったよ。食べ物を買うことに向かって。」という感じ。

このようにto不定詞というのは、「より詳しい情報へとtoが導いてくれる」という形ですべて読めるようになっています。

用法をきちんと区別できることは良いことですし、正確な日本語訳を作るには必須の知識ではあります。

しかし、瞬間的に読み、聞き、また瞬間的に英文を作り話すのに、その知識はあまり使いません。

枝葉にとらわれず、根っこは何かを考えて学習すれば、もっと直感的な英語の操作が可能になります。

3. 不定詞(=to+動詞原形)その2:「→」をどこから見るか

不定詞は「to+動詞の原形」つまり、「[→]+[時間から解放された、動詞の概念]」です。

そしてto、つまり「→」は3つの意味を持ちます。

①これからすることに向かう。
②到達している。
③指差している。

どれも同じ「→」。

ただ、それをどこから見るかで意味が違ってくるのです。

①これからすることに向かう

不定詞のかなりの部分を占めるのがこの「これからすることに向かう」という意味です。

[名詞的用法]
・I want to see him tomorrow.(明日彼に会いたい)
⇒「これから会う」ということに向かってwantな気持ちでいます。
・I don’t know what to do.(どうしたらいいのかわからない)
⇒「これから何をすることに向かうのか」。このため「疑問詞+不定詞」は「~すべき」という意味になります。what to doなら「何をすべきか」。

ちなみにto see him tomorrowも、what to doもitに置き換えてそれぞれの文の意味が通るので、これらの不定詞は名詞的用法です。

[形容詞的用法]
・We need to buy something to drink.(何か飲み物を買う必要がある)
⇒「これから飲む」ことに向かう「何か・もの」。
・I have nothing to talk about.(何も話すことはない)
⇒「これから話す」ことに向かう「ことがゼロ」。

ちなみにto drinkとto talk aboutは、直前にあるsomething、nothingという名詞の内容を詳しく説明する言葉なので、これらの不定詞は形容詞的用法です。

分詞の形容詞的用法は、~ingですので「やっている最中の」という感じが出ます。

We got closer to the man talking with Mr. Morita.(私たちは森田氏と話している男性に近づいていった)
⇒森田氏と話している最中の男性。

[副詞的用法]
・I went to the movie theater to see the movie.(その映画を見に映画館に行った)
⇒「これから映画を見る」ことに向かって「行った」。
・I am ready to go.(行く準備はできている)
⇒「これから行く」ことに向かってreadyの状態にある。

to see the movieはwentという動詞の目的を説明しているので副詞的用法です。to goはbe readyという動詞句の内容(何の準備ができているか)を詳しく説明しているので副詞的用法です。

[独立不定詞]
文頭に置かれる、慣用句です。

「今からこうさせてもらうけど」という、一種の「これから向かう」感があります。

To be frank, I don’t want to make friends with a guy like him.(ぶっちゃけて言うと、私はああいう男と友達にはなりたくない)
⇒(今から)率直にならせてもらうと…
Needless to say, your company pays for it.(言うまでもなく、費用は君の会社が持つ)
⇒(今から)言う必要はないのだが

②到達している

「到達してしまっている」ことを意味する不定詞は主に副詞的用法で使われます。

これらの不定詞は「すでにこういう動作が現実に起きている」ことを意味します。

[副詞的用法(結果)]
・He grew up to be a doctor.(彼は大人になって医者になった)
⇒成長して大人になった結果、「医者である状態」に到達する(growは成長するという意味しかないが、grow upは「成人する」という意味)。
・I studied without sleeping a wink, only to fail the exam.(一睡もせずに勉強したが、結局テストに落ちた)
⇒「努力+only to+失敗」の構文。「努力したが、結局失敗にしかたどり着かない」という意味を出します。

[副詞的用法(原因)]
・It’s good to see you.(会えて嬉しいです)
⇒「あなたに会う」ということにたどり着いて、「状況(it)は良い」。

[副詞的用法(判断の根拠)]
・He must be a genius to solve the problem within a few minutes.(その問題を数分で解いてしまうなんて、彼は天才に違いない)
⇒「判断・評価+to+判断・評価の根拠」の構文。「ある出来事にたどり着いて、それを根拠として判断・評価を下す」。

[副詞的用法(条件)]
To hear her talk, you would think she was Chinese.(彼女が話すのを聞けば、君は彼女のことを中国人だと思ってしまうだろう)
⇒文頭に「to+条件」がくるパターンです。「その条件に到達すれば」ということです。条件の部分には「to see~」か、「to hear~」の知覚構文がくることが普通です。

③指差している

「これから向かう」にも「到達」にもあてはまらないto不定詞もあります。

この「→」は「想念」を指す、純粋に「指示機能」の「→」です。

「こちらですよ」と指差している感じですね。

[名詞的用法]
To eat vegetables every day is good for your health.(毎日野菜を食べることは健康に良い)

「実際にやった」わけでも、「実際にこれからやる」わけでもない、「一般的に、こういうことをすること」という概念・考えを表す、想念のto不定詞です。

動詞原形は時間から解放された、動作の概念のみを表す言葉ですから、こういう用法も生まれるわけです。

to eat vegetables every day はitで置き換えても文の意味が通るので、名詞的用法です。

以上、不定詞のtoが持つ「→」の意味を3つに分けてみました。

toを「→」で捉えると、言葉の意味がもっと生き生きと感じられるようになりますよ。

4. 次に進む前に…あらためてbe動詞を考える

この項では、be動詞とは何なのか、そして様々な文法で使われるbe動詞は何をやっているのかを見ていきながら、これまで手に入れてきた知識を「点から線へ」つなげるようにしていきます。

be動詞は一番基本的でありながら、英語学習ではその意味の学習が軽視されているように思える動詞です。

「文法上必要だからそこに使われているけれど、文の意味にとってはあまり重要ではない」というような捉え方をされている感じがします。

例えば進行形や受動態では、「be動詞+~ing」「be動詞+過去分詞」という形式上、be動詞が必要だけど、なぜそこにbe動詞があるのか、そしてそこでbe動詞は何をしているのか、ということに関する説明はほとんどありません。

また、I am a student.を「私は学生だ」と訳すとき、「だ」は何を表しているのか、という説明はありません。

さらに言えば、これが、I am in Tokyo.になると、「私は東京にいる」
という訳になるわけですが、「だ」になったり「いる」になったりするbe動詞の正体は一体何なのか、ということの説明もありません。

ここでは、そんなそもそものお話を考えてみます。

be動詞の正体は「~という状態で存在している」

be動詞の正体は、「~という状態で存在している」です。

ちなみに日本語の「学生だ」の「だ」は、「学生という状態で存在している」ということを表しています。

つまり、「昨日も今日も明日も、変わらず学生の状態が続いている」ということを表しています。

「東京にいる」の「いる」は「in Tokyoという状態で存在している」ということを表しています。

ですから、be動詞の「~という状態で存在している」という意味のうち、I am a student.(第2文型)ではbe動詞の「状態」の意味がクローズアップされ、I am in Tokyo.(第1文型)ではbe動詞の「存在」の意味がクローズアップされているわけです。

補語の形容詞の前になぜbe動詞がつくのか

第2文型では、補語に「学生」のような名詞だけでなく、形容詞もつきます。

・He is happy.
・This flower is beautiful.

形容詞は名詞の様子を説明する言葉で、

①変わらずその状態が続いていることを表す。
⇒つまり、「美しい」なら、「美しくなる」という変化とは違い、「美しい」状態がずっと続いていることを表す。
②いつの話なのか(=現在なのか、過去なのか)を表せない。

という特徴があります。

したがって、形容詞は「状態」を意味するbe動詞ととても相性がよく、また、be動詞が時間を表します。

進行形になぜbe動詞がつくのか

進行形の be動詞の役割は、まず、~ingだけでは表せない「現在」「過去」をbe動詞が表してあげている、ということです。

He is reading a book.
He was reading a book.

という違いですね。

be動詞がなければ、「本を読んでいる最中なのは、今の話なのか、過去の話なのか」がわからないわけです。

次に、じゃあ使われるのがなぜbe動詞なのか、他の動詞じゃないのか、ということになるわけですが、~ingというのは「ある程度の時間、何かしている最中の状態がずっと続いている」わけで、これは「動作」「変化」ではなく、「変わらない状態」の世界なわけです。

したがって、~ingに何か動詞をつけるなら、「状態」それ自体を意味するbe動詞がぴったりなわけです。

受動態になぜbe動詞がつくのか

受動態において、過去分詞につくbe動詞は、~ingと同様、「現在」「過去」という時間を表します

また、過去分詞にhaveがつけば現在完了ですが、be動詞なら受動態です。

さて、受動とは、「なされた後の状態」と考えられることが第一であり、「されていなかったものが、される」という「変化」として捉えられることは二次的であるようです。

・This idea is accepted across all generations.(その考えが幅広い世代に受け入れられている)
⇒acceptは「受け入れる」という動作動詞ですが、受動態で使うと「受け入れられてしまっている状態がある」という「受動+完了した状態」のイメージ。

・John is said to have been fired two weeks ago.(ジョンは2週間前に解雇されたという話だ)
⇒sayは「口から言葉を出す」という動作(変化)を表す動詞ですが、is saidでは「そういう噂がずっとある」という「状態」を表しています。

・My watch is broken.(私の時計は壊れているんだ)
⇒特に文脈がなければ「私の時計は壊される」という「変化」ではなく、「壊れている」という「状態」で解釈されます。つまり、「なんらかの原因により壊された後の状態」にあるということです。

・The door was closed.(そのドアは閉まっていた)
⇒特に文脈がなければ、「ドアは閉じられた」という変化よりも「ドアは閉まっていた」という状態で解釈されることが多いです。もし「閉じられた」という変化を表したいなら後ろにbyがつくことが多いです。

・The door was closed by the tall man.(その背の高い男によってドアは閉じられた)
⇒受動態のbyは「する側」を呼ぶ言葉であるので、「する」という変化、つまり状態ではなく動作の意味が受動態に色濃く出てきます。

このように、受動態は動作(変化)を表すこともできますが、どちらかというと、状態(変化しない)を表す方がデフォルトに近い表現です。

したがって、状態を表すbe動詞が、相性が良いのだと思われます。

5. be to不定詞

be to不定詞は少し硬めの書き言葉に必須の文法事項で、「be動詞+to不定詞」という1つの形に5種類もの意味があるということで英語学習者を悩ませる項目の1つです。

①確定した予定
The president is to visit China next month.(大統領は来月中国を訪れることになっている)
運命
She was never to see him again.(彼女が彼に会うことは2度となかったのであった)
可能
No one was to be seen in the street.(通りには人影が全く見られなかった)
意志
If you are to be successful, you need to work harder.(成功したいというなら、もっと努力すべきだ)
義務・命令
You are to come to my office.
(私のオフィスまで来るように)

しかし、形(言い方)が同じということは、何かそこに共通の意味の根っこがあるはずで、それをつかむと、理解がかなり楽になります。

また、直感的な理解は英語のアウトプットに必要なものです。

「~するということに向かっている状態にある」

be動詞は「~という状態で存在している」が根っこの意味、to不定詞は基本的には「これから~することに向かう」ということですから、「be to不定詞」の根っこの意味は「~するということに向かっている状態にある」という感じです(ただし、③は例外的に少し異なります)。

この根っこの意味に一番近いのが①の「確定した予定」です。

①確定した予定

be to不定詞の中で一番よく使われる用法です。

一番よく見かけるのは新聞の見出しで、英語で新聞の見出しは慣習的にbe動詞と冠詞は省くものですから、以下のような書き方がなされます。

Trump to visit China(トランプ大統領、訪中へ)

普通の文に直せばPresident Trump is to visit China.になります。

この表現はwillや他の未来表現とはどう違うのでしょうか?

(1)willだと…
President Trump will visit China.(トランプ大統領は中国を訪れるだろう)
⇒willは「訪れる」という方向に心がパタンと傾く、ということです。つまり心の中で行う「予想・判断」。話し手がそう思っているだけという意味で予定の確定度はそれほど高くありません。

(2)be going toだと…
President Trump is going to visit China.(トランプ大統領は中国を訪れる予定だ)
⇒未来に「Chinaをvisitする」という出来事があり、今トランプ氏はそこに向かって進んでいる途中だ、ということです。すでにその予定に向かって進んでいるという意味で「思っているだけ」のwillより確定度は高いです。

(3)進行形だと…
President Trump is visiting China next week.(トランプ大統領は来週訪中する)
⇒「訪中に向けてすでに事態が進行中」。例えトランプ氏がまだ米国にいたとしても、もう訪中モードで生活が動いているという意味です。「訪中というイベントはまだ先にあって、今はただ、そこに向かって進んでいる」というbe going toよりもはるかに慌ただしくなっています。

(4)be to不定詞だと…
President Trump is to visit China next week.
⇒新聞の見出しに使われることでわかるとおり、硬い、書き言葉的表現で、政治日程や、会社同士の取り決めなど、「キャンセルしたら、かなりまずい」予定に使われることが普通。「近い未来」「遠い未来」というよりは、「公式日程」という感じで捉えると感じがつかみやすいです。

②運命

必ず過去形で使われる表現です。

これから先のことは誰にもわからなくても、過去を振り返ってみたとき、「ああ、あのとき、こうすることに向かっていたんだよなぁ」ということはわかります。

ドラマの最後の、「そのとき、このような運命が待ち受けているとは、○○は知る由もなかったのであった」というナレーションの感じです。

He was never to return home.(彼が故郷に戻ることは二度とないのであった)
⇒故郷に帰ることには、決して向かっていない状態だった、ということを未来から振り返って見通している表現です。

③可能

形式上の特徴として、否定文で使われるのが普通なので、「可能」というよりは、「不可能」を表す構文です。

そして、to不定詞が受動態、つまり「to be過去分詞」という形になります。

このパターンのtoだけは、「これから向かう」ではなく、「たどり着く」という意味ではないかと考えられます。

そう考えると、「(~されるということに)たどり着くという状態にはなかった」=「(~される)ということが実現しなかった」という意味で解釈できます。

be to不定詞の否定文で「to be過去分詞」なら、「不可能」を意味する文だと思ってください。

My wallet was not to be found.(私の財布は見つからなかった)
⇒「私の財布は発見されるという状態にたどり着かなかった」が直訳。

④意志

この表現はifを使い、If S be動詞 to (do~)の形をとるのですが、直訳すると、「もしSがdoするというところに向かっているというのなら」と捉えることができます。

時には「実際はそうなっていないよねぇ」というふうに説教臭く聞こえたりもします。

こなれた形で和訳すると「もしSがdoするつもりなら」というふうに「意志」で訳します。

しかし、「意志」という意味がbe to不定詞の中にあるというよりは、結果的に「意志」と訳せるだけという感じです。

帰結節では必ず「助言」が述べられます。

やはり説教臭い表現ですね。

If you are to be successful, you need to work harder.
直訳:「もしあなたが成功に向かっている状態だというのなら…」→「もし成功するつもりなら、もっと努力した方がよい」

⑥義務・命令

主語は必ずyouです。

目の前の相手に対して面と向かって「あなたは~することに向かっているから」と言えば、それは「やれ」ということですよね。

You are to come to my office later.(後で私のオフィスまで来るように)
⇒「あなたは後で私のオフィスにくるということに向かっている状態だ」が直訳。

以上、これらの表現は話し言葉ではありませんが、ビジネス文書では場合によっては使うこともあります。

そして、多義(1つの形に複数の意味がある)の問題として興味深いので取り上げてみました。

根っこを押さえたうえで、各用法の形式を押さえ、使いこなせるようにしましょう。

6. 不定詞の意味上の主語と「of 人 to不定詞」

今回は「不定詞の意味上の主語」と言われる「for+名詞 to不定詞」の形がなぜ起きるのか、そして、似た形である「It is 性質/性格 of 人 to不定詞」において、なぜforではなくofが使われるのかについてお話しします。

不定詞というのは英語で話すとき、かなり便利な表現で、必然的に上記の2つの表現はよく使うことになります。

構文が持つ意味を深く知れば、それだけ直感的な操作が可能となります。

「(人)」にとってのforとto

My family is very important to me.(自分の家族は自分にとって、とても大切です)
Mr. Goldberg is very important for us.(ゴールドバーグ氏は私たちにとって、とても重要だ)

上記の例文にあるように、「~にとって」を意味するとき、toもforもどちらも使えます。

しかし、これらの意味には微妙な違いがあります。

toが前置詞で使われるときは、ほとんどの場合、「たどり着く矢印」の意味を持ちます。

important to meなら「importantだ」という評価が直接meの元にたどり着いていること表し、これはネイティブスピーカーに言わせると「打算も何もなしに、とにかく重要」という「無償の愛」的な感覚をもたらします。

一方で、forは「遠くに見える目標」というのが根っこの意味ですから、important for usなら「何かを成し遂げる目標が私たちにあって、その達成のために重要だ」という感覚が出てきます。

forの後に目標内容を詳しく補足するのが不定詞

さて、文脈上forの持つ「目標」の内容が、言わなくてもわかるようなものである場合は、上記の例文のようにfor us(私たちにとって)だけで大丈夫です。

しかし、実際には「私たちにとって、どう重要なのか」ということまで説明する必要がある場合がよくあります。

そのための補足説明をしてくれるのがto不定詞です。

Mr, Goldberg is very important for us to carry out this plan.(ゴールドバーグ氏は私たちがこの計画を実行するのに(直訳:私たちにとってこの計画を実行するのに)、とても重要です)
⇒この会話が会社の身内だけで行われ、なおかつ「この計画の話」だということを全員了解している文脈の中でなら、for usだけで十分ですが、そうでない場合には「この計画の実行」という補足説明が必要になります。

これがいわゆる「不定詞の意味上の主語」のfor~の正体です。

不定詞の意味上の主語などと教わると、不定詞が主役で、意味上の主語である「for+人」は添え物のような感じがするでしょうが、成り立ちとしては逆であったと考えられます。

「意味上の主語」はいるかいらないか

一方で、実際に使っているときには、確かにこの不定詞の意味上の主語は「添え物」のような感じがする場合がよくあります。

不定詞の意味上の主語が不要だと感じられるときはどういう場合なのか、見てみましょう。

It’s impossible to finish this work in a day.(この仕事を1日で終わらせるのは無理だ)

不定詞の意味上の主語がない場合は、一般的な性質の話、つまり、誰にとってみても、「この仕事を1日で終わらせるのは無理だ」という話をしています。

しかし、これに意味上の主語が加わると、

It’s impossible for him to finish this work in a day.(彼がこの仕事を1日で終わらせるのには無理がある)

他の人はともかく、彼は」という、より具体的な話になります。

彼にそれをこなすだけの能力や経験がないとか、今日は、彼は他にもたくさん仕事を抱えているとか、そういう事情があって、「他の人はともかく、彼には無理だ」という話ができるようになります。

性質・性格を表す形容詞+of+人+to不定詞

次の文を見てください。

例えば「前もって私にその情報をくれるなんて、彼って親切だね」と言おうとするとき

×It is kind for him to give me the information in advance.
〇It is kind of him to give me the information in advance.

「for 人 to不定詞」をうっかり使ってしまう英語学習者は結構いるのですが、ここではofを使わないといけません。

どういう場合にforではなく、ofを使うのかというと、ofの前に「人の性質・性格」を表す形容詞がくる時で、「人の性質・性格に対する感想を述べようとする文」となるときにofが出てきます。

ではなぜ、ofが使われるのでしょうか?

ofというのは「全体から、それを構成する一部を取り出す」というのが根っこの意味です。

a piece of cakeなら「ケーキ全体から、その一部を取り出す」ということですし、a student of the schoolなら「その学校から、(学校を構成する)1人の生徒を取り出す」ということです。

そうすると、「性格 of 人」というのは、「その人から、その人を構成する性格の一部が出てきたね」という話をすることになるのです。

It’s kind of himなら「彼の親切なところが出てきたね」ということになります。

話し手と聞き手にとって、「何が原因で彼の親切なところが出てきたと思ったのか」が了解済みの場合は、It’s kind of him.で話は終わりです。

しかし、その原因まで補足説明する必要がある場合、後ろにto不定詞がつき、It’s kind of him to give me the information in advance.となるわけです。

このように、不定詞は「さらなる補足説明を行う」ときによく使われます。

そして、英語では「軽い情報(旧情報、抽象的情報、情報の骨組み)」は先に話し、「重い情報(新情報、具体的情報、情報の肉付け)」は後に話すのが鉄則なので、補足説明の働きをする不定詞は、文の後半に出てくることが多くなるのです。

7. tough構文攻略その1

意味も形も「合った」文を作る

以下の文を見てください。

〇This fridge is too large to get in the kitchen.
×It is too large to get this fridge in the kitchen.
(この冷蔵庫は大きすぎて台所に入らない)

文法の形だけを見ると、どちらもいけそうに思えるのですが、上の文は大丈夫でも、下の文は英文として意味がおかしくなります。

言葉とは、「意味と、その意味を表すための文法形式(=言葉の形)の組み合わせ」です。

したがって、意味がおかしければ、当然その言葉の形は認められなくなります。

なんでも書き換えられるというわけにはいきません。

This fridge is too large to get in the kitchen.から見ていきましょう。

「冷蔵庫」にサイズがあり、それが「大きい」と感じられるのは極めて自然です。

ですので、This fridge is too large (この冷蔵庫は大きすぎてダメだ)という冷蔵庫の大きさに対する評価の表明があり、さらに「何をするのに向かって大きすぎてダメなのか」という補足説明を表すto get in the kitchenが続きます(ちなみにtooは「~すぎる」だけでは解釈が不十分で、「~すぎてだめ・失格」というネガティブな意味まで持つ言葉です)。

一方で、It is too large to get this fridge in the kitchen.ですが、itというのは「状況」を意味する言葉です。

仮主語や仮目的語を、「形式だけがあって意味はない」と考えることは、よくありません。

さて、そうすると、It is too largeは「状況は大きすぎてダメだ」という、明らかにおかしな意味になります。

この「状況」を詳しく補足説明するのはto get this fridge in the kitchenですが、「冷蔵庫が大きい」のではなく、「冷蔵庫を台所に入れることが大きい」という意味になり、「(入れるという)行為」に大きさがあるかのような表現になるため、意味の上ではおかしいということになるわけです。

人が主語になれない表現もある

逆のパターンを見てみましょう。

今度はit isの文が自然で、人が主語になると意味がおかしくなるものです。

〇It is impossible for him to cancel the meeting.
×He is impossible to cancel the meeting.
(彼がそのミーティングをキャンセルすることは不可能だ)

it is impossibleは「状況が不可能」と述べているわけで、これは自然です。

不可能なのは「彼がそのミーティングをキャンセルする」という状況なわけです。

ところが、He is impossibleは不自然です。

heが主語で、impossibleはheの中身を表す補語です。

heの中身として、he is happyとか、he is kindなど、「彼の性格・性質」を表すのは自然でも、impossibleは彼の性格や性質とは無関係の言葉です

「彼は不可能な人だ」とは言えません。

このような「状況の性質」は表しても「人の性質・性格」は表せない形容詞の仲間には次のようなものがあります。

〇It is natural for him to be angry.(彼が怒るのも当然だ)
×He is natural to be angry.
⇒「彼」が自然なのではなく、「彼が怒るという状況」が自然。

〇It is convenient for me to visit her tomorrow.(明日彼女を訪ねるのが、都合がよい)
×I am convenient to visit her tomorrow.
⇒「私」が「都合のよい性質・性格」を持っているのではなく、「私が明日彼女を訪ねる」という状況が、私にとって都合がよい。

〇It is necessary for us to buy it before the party.(パーティの前にそれを買う必要がある)
×We are necessary to buy it before the party.
⇒「私たち」に必要性があるのではなく、「私たちがパーティの前にそれを買う」という状況が必要だということです。

人もItも主語になれる表現

では、どちらでもいける場合を見てみましょう。

This computer is easy to use.(このコンピューターは使いやすい)
It is easy to use this computer.(このコンピューターを使うのは簡単だ)

This computer…から見てみると、コンピューターの属性として「使いやすい」「使いにくい」というのは自然なので、この文は問題ありません。

It is easy to…も、「コンピューターを使う」という状況が簡単なわけですから、問題ありません。

簡単に対処できる状況ということです。

tough構文

以下の3つの例文を見てください。

〇It is difficult for him to solve this problem.(彼がその問題を解決するのは難しい)
×He is difficult to solve this problem.
〇He is difficult to get along with.(彼は付き合いにくい人間だ)

不思議なのは、同じhe is difficultでも、自然な場合と不自然な場合があるということです。

そして、difficultというのは、kindやnice、mean(意地が悪い)、arrogant(傲慢な)などと比べると、人の性質や性格を表すとは言いにくい言葉です。

なぜ3番目の文ではhe is difficultと言えるのでしょうか?

英語にtough構文と呼ばれる構文があります。

3番目の例文はtough構文の一種です。

tough構文というのは、一般に、人や物に対する「しやすさ、しにくさ」の評価を表す構文です

なぜtough構文などという名称がついたのかと言うと、toughというのは「紙ちぎれない肉」のような、「やりにくさ」のイメージを持つ形容詞で、この構文の例文で典型的に使われることから、いつの間にか通称tough構文となりました。

3番目の例文はdifficultが使われていることでわかるとおり、「しにくさ」を表しています。

すでに出てきたThis computer is easy to use.も「使いやすさ」を表すtough構文です。

次項ではtough構文の形の特徴、意味の特徴、さらに、仮主語itを使う文とはどうニュアンスが違うのかを解説していきます。

8. tough構文攻略その2

ここではtough構文の形と意味の両面から、理解を進めます。

tough構文の形の特徴

形の特徴は、「不定詞の目的語が主語になっている」ということです。

仮主語itの文:It is easy to use this computer.
tough構文:This computer is easy to use.
⇒不定詞句to useの目的語であるthis computerがtough構文の主語になり、to useの後ろの目的語は省かれる。

形でtough構文が判断できると、以下の文が正しいかどうかわかります。

×He is impossible to cancel the meeting.
⇒不定詞句to cancel the meetingの目的語であるthe meetingがそのまま残っており、主語にもなっていません。

The meeting is impossible for him to cancel.(彼にとってその会議は絶対にキャンセルできない)
⇒to cancelの目的語を主語にしています。

前項の最後で出た

×He is difficult to solve this problem.も、不定詞句to solve this problemの目的語であるthis problemがそのまま残っており、主語にもなっていないので不適格な文だということがわかります。

this problemを主語にして、This problem is difficult to solve.とすれば自然な文になります。

一方で、

He is difficult to get along with.

は、to get along withの目的語であるhimが主語heになって文頭で使われています。

よって形式的にtough構文として適格な文だということがわかります。

tough構文の意味の特徴

tough構文は意味に大きな特徴があります。

話し手が対象に対応するときに感じる「やりやすさ、やりにくさ」を表すというものです。

そして、もう1つ大事なのが、恒常的な性質・性格を表す構文だということです。

人に対しての評価なら「この人っていつもこうだよね」、物に対しての評価なら「これって、いつもこうなんだよね」という感じです。

This computer is easy to use.
⇒このコンピューターが持つ恒常的性質(いつも使いやすい)を話し手が評価しています。

こう考えると、普通は人の性質・性格を表さないeasyやdifficultなども、その人に対する「やりやすさ・やりにくさ」を表すために使えることがわかります。

×He is difficult to solve this problem.
⇒意味の面から考えたとき、「この問題を解決するのが難しい」のは、彼の性質・性格を評価することと何の関係もないから、この文はtough構文としておかしいです。

The meeting is impossible for him to cancel.(彼にとってその会議は絶対にキャンセルできない)
⇒その会議が持つ性質(どんなときもキャンセルができないという類の会議)を述べています。impossibleは「やりにくさ」の極致を表す形容詞と考えます。例えば社長が直接出席する定例会議などです。

He is difficult to get along with.(彼は付き合いにくい人間だ)
⇒意味の面から考えたとき、「一緒にうまくやっていくのが難しい」のは、彼への対処の「しやすさ・しにくさ」を評価する要素となります。したがってこの文はtough構文の表そうとする意味として自然です。

仮主語itの構文とtough構文の意味の違い

He is difficult to get along with.と、It is difficult to get along with him.は、ただの書き換え表現であり、両者はほぼ同じ意味だと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には意味が違います。

まず、tough構文ですが、主語にitではなく、人や物がきます

これが意味するところは、「情報の主役(主語)が、状況(it)ではなく、人や物だ」ということです。

このため、今回限りの状況の話ではなく、その人や物が持つ「いつもこうだよね」という性質に焦点が当たります。

He is difficult to get along with.(彼は付き合いにくい人間だ)
⇒「彼っていつもこういうやつだよね」というところに話の焦点が当たります。

一方で仮主語itは「状況」を意味しますから、それが主語になると、「いつもというわけではないけれど、今回に関しては(現在形)とか、そのときに関しては(過去形)、そういう状況だった」ということを表せるようになります。

It is difficult to get along with him.((今回)彼とうまくやるのは難しい)
⇒例えば、彼1人が強固に今回のプロジェクトに反対していて、とても非協力的になっている、という「今回の状況がもたらす事情」を反映した言い方にできます。

It was difficult to get along with him.((あのとき)彼とうまくやるのは難しかった)
⇒過去を振り返り、「あの状況の中では、彼とはうまくやれなかったな」と思っています。

もちろん、彼の恒常的な性格を表す文として、上記の仮主語の文を使ってもかまいません。

しかし、はっきりと「彼はそういう人間だ」ということを表してくれるのは、tough構文です

to不定詞の「態」

最後に、応用編として、to不定詞の「態」についてお話しします。

×John is tough to be pleased.(ジョンは喜ばせにくい男だ)

上記の文のどこがおかしいか、わかりますか?

不定詞to be pleasedですね。

英語学習者の中には、「主語がJohnでしょ。pleaseは『喜ぶ』じゃなく『喜ばせる』という意味の動詞。Johnは喜ばされる立場だからbe pleasedというふうに受け身にしないといけないんじゃないの?」と考える人がいます。

しかし、意味をよく考えてみると、We please John.することが難しいわけです。

つまり、tough構文であるこの文は

It is tough for us to please John. →John is tough (for us) to please.
(ジョンは、(私たちにとって)喜ばせにくい)

というふうに、「話し手(we)」から見たジョンの「喜ばせやすさ」の評価ですので、「話し手=『喜ばせる』立場」として、不定詞の部分はto pleaseという能動態にならないといけないのです。

したがって、John is tough to pleaseとなります。

9. haveやgetの使役構文

haveやgetを使って「~してもらう」とか「~される」という意味を出す構文があります。

・I had my son carry my bag.(私は息子にカバンを運んでもらった)
・I got Andy to fix my car.(私はアンディに自分の車を直してもらった)
・I had my car stolen.(私は車を盗まれた)

特に3つ目の例文は英語学習者が

×I was stolen my car.

とやってしまうことで有名なものです。

なぜhaveやgetを使ってこのような意味が出るのか、文の構造と意味の発生原因を見ていきましょう。

haveのこの構文は典型的な第5文型です。

I had my son carry my bag.
⇒my sonはカバンを選ぶ「立場」

直訳すると、「私は『自分の息子=私のカバンを選ぶ』という状況を持った」ということになります。

動詞hadは主語Iから出る力なので、「私の意図によりそういう状況を持った=私の意図により息子にカバンを選んでもらった」という意味が出てきます。

haveの後ろにくる目的語が「する立場」なのか「される立場」なのかで補語の動詞の形が変わります。

目的語が「する立場」の場合、補語は動詞の原形が、「される立場」の場合、補語は過去分詞がきます。

I had my car stolen.
⇒my carは人によって「盗まれる」立場

直訳すると、「私は『自分の車=盗まれる』という状況を持った」ということになります。

意地の悪い解釈をすれば、「私は自分の車を盗んでもらった」というふうに取れないこともないですが、(言葉選びのレベルではそういうこともジョークとして言ったりします)、常識で考えて依頼し盗んでもらうというのは特殊なことなので、普通は「被害」の意味で解釈します。

ついでに、「私は車を盗まれた」がI was stolen my car.ではなぜダメなのかも説明しておきます。

能動態の文でこういう文が考えられます。

Someone stole my car.(誰かが私の車を盗んだ)

stealは主語に「盗む側」、目的語に「盗まれる側」がくるという構文をとります。

この文には被害者である「私」は一切出てこないのです。

ですから、これを受動態にしても、

My car was stolen by someone.(私の車が(誰かに)盗まれた)

というふうになります。

やはり被害者である「私」は文に出てこないのです。

英語は「する側とされる側の関係」を語りますので、「盗む側(盗人)と盗まれる側(車)」の関係だけが語られます。

日本語の受け身はそこに「被害の影響を受ける人」を加えることができるので(「迷惑受け身」「間接受け身」などと呼ばれます)、「私は車を盗まれた」などと言うことができます。

英語でそれをするなら「私はある状況を抱えた。その状況の内容は、私の車=盗まれるという状況」という考え方をしなければいけません。

そこでI had my car stolen.という文が出てくるわけです。

もちろん、この構文では、過去分詞が必ず被害を表すわけではありません。

基本の意味は「Sが『O=~される』という状況を抱える」にすぎません。

・I had the wall painted.(私は壁にペンキを塗ってもらった)
・She had her shoes repaired.(彼女は靴を修理してもらった)

get 人+to不定詞:人に頼んだり、説得して~してもらう

getで使役を表すときに、to不定詞を使う構文があります。

I got Jim to drive me to school.(私はジムに頼んで、学校まで車で送ってもらった)

この構文では単に「してもらう」というよりは、お願いしたり、説得したりして、やってもらうという感じが出てきます。

まず、I got Jimで、文字通り「私は彼を手に入れた」わけです。

で、その後、drive me to schoolという行動にto(たどり着く)わけです。

ジムを捕まえて、頼むよ、とお願いして、それからdrive me to schoolにたどり着く。

to不定詞のtoという「→」も、「まず人を手に入れてお願いして、それから目的の行為にたどり着く」という「説得と実現の間にある時差」を表すのに一役買っていると考えることができます。

補語が形容詞か過去分詞のパターン

getの第5文型で、補語が形容詞か過去分詞というパターンもあります。

He got his children ready for school.(彼は子供たちに学校の準備をさせた)
⇒彼は「子供たちに学校への準備ができている」という状況を手に入れた。

We got the project started.(私たちはその計画を始動させた)
⇒プロジェクトは「始動される」立場。私たちは「その計画=始動される」という状況を手に入れた。

ここはgetの代わりにhaveを使っても構いません。

しかし、getの方が「頑張ってそうした」という感じが出ます

getは「手に入れる」ということですから、「手に入れるために頑張った」という感じが出やすいのでしょう。

一方haveは例えばI have a pen.(私はペンを今持っている)というように、「(すでに)持っている」ということですから、手に入れる苦労は表れず、努力のいらない決まり切った行為に使われるのが普通です。

上記の例文を応用すると、We had the project started.なら、もうプロジェクトがスタートするのはごく当たり前のことで、すごくスムーズに何事もなく始動している感じがします。

一方で、getでは「やっと手に入れた感」があり、そのため「いよいよ、ついに始動」という感じがします。

またこのような、getの「手に入れる」という「力を加える感」は、相手に「グイグイ行く」感じを与えることから、フレンドリーな表現になると英語のネイティブスピーカーは感じています。

逆にhaveは力を与える感じが少ないからか、少し突き放した、冷たい事務的な言い方に感じられるそうです。

したがって、仕事などで使うときはhaveが多くなります。

I got my boyfriend to buy me dinner for the celebration.(お祝いに、彼氏に晩御飯おごってもらっちゃった)
I had my boyfriend to buy me dinner for the celebration.
⇒何か事務的で、命じておごらせたような言い方。二人の関係はそんなに冷え切っているのかな、と思わせてしまうかもしれません。

10. 原形不定詞と~ing

第5文型で「~させる」という使役の意味を出す動詞にkeep、leave、make、haveなどがあります。

このうちkeepとleaveは~ingと相性がよく、makeとhaveは動詞原形(つまり原形不定詞)と良い相性を持ちます。

原形不定詞と~ingの大きな違いは「動作の最初から最後までの丸ごと」なのか「動作の途中・最中」なのか、ということです。

以下の例文を見てみましょう。

・He kept me waiting for two hours.(彼は私を2時間待たせた)
・Someone left the water running.(誰かが水を出しっぱなしにした)
・He make his children stop it.(彼は子供たちにそれをやめさせた)
・They had us close the gate.(彼らは私たちにその門を閉めさせた)

keepとleaveでは~ingを使っていますが、一方でmakeやhaveでは動詞の原形を使っています。

ルールとしてそう覚えておくことは悪いことではありませんが、欲を言えば「ここは~ingのほうが自然」「ここは動詞原形のほうが自然」と感じられるようになりたいところです。

そうすればよりスムーズに、瞬間的に、英語を書いたり話したりできるようになります。

ingとkeep、leaveが相性が良い理由

~ingは動作の途中を表しますので、keepやleaveのような動詞とは相性が非常に良いです。

keepは「ある動作の最中の状態を保持しておく」ことですし、leaveは「ある動作の最中の状態をそのままにしてその場を立ち去り、放置する」ことを意味するからです。

ですから~ingと一緒に使います。

keepは力を抜いたら止まってしまう動作を、止まらないで継続できるよう力を込め続けるイメージを持ち、leaveは、その場を去ることで、放置する、力を抜くイメージを持ちます。

原形とmake、haveが相性が良い理由

動詞原形は動詞の「裸」系ですから、動作動詞なら動作の開始から終了までの丸ごとを意味します

makeは使役動詞で「~させる」ということを意味しますが、それはつまり、「ある動作を完成させる」ということです。

He made his children stop it.ならば、「それをやめる」という動作を、完全に「作り上げる」ということを意味しています。

したがって、stopは「やめる」という動作丸ごとを表すことになり、ここに~ingなどは使えない、動詞原形を使わなければいけない、ということがわかります。

haveの使役構文も同様です。

「あることをしてもらう」=「ある動作が完成した状況を持つ」ということで、動詞の原形を使うと考えられます。

~されるなら過去分詞

keep、leaveグループとmake、haveグループの間には上記のような違いがありますが、目的語の名詞が「される」立場の場合は両者とも補語には過去分詞がきます。

・Keep the door closed.(ドアを閉めたままにしておいて)
・Don’t leave the door closed.(ドアを閉めっぱなしにしないでね)
⇒目的語であるdoorの立場で考えます。ドアは人によって「閉められる」立場なので、補語には過去分詞のclosedがきます。
・I tried to make myself heard.(自分の声が届くように頑張った)
⇒自分(の声)は人によって「聞かれる」立場。
・I had my parcel sent.(小包を送ってもらった)
⇒小包は人によって「送られる」立場。

これらがすべて過去分詞になるのは、「なされる」ということが、「なされてしまった後(完了)」と解釈されるのが自然で、この状態を維持するのがkeep、この状態のまま放置するのがleave、この状態の形を作る(実現する)のがmake、この状態を持つのがhaveということだからです。

知覚構文での原形不定詞と~ingの違い

すでに、現在進行形の項で、知覚動詞とは何かということを説明しました。

see、hear、feelなど「入ってきた情報に、五感を通して気付く」という意味の動詞です。

そこで出てきた知覚動詞には、知覚構文という構文をとることがよくあります。

I saw him enter the room.(私は彼が部屋に入るのを目にした)
⇒動詞原形の場合は「動作の開始から終了までの丸ごと」。ここでは「部屋への入り始めから入り終わるところまでの一部始終」を目にしたことを表します。

I saw him entering the room.(私は彼が部屋に入るところを目にした)
⇒~ingの場合は「動作の途中・最中」ということ。ここでは「部屋に入ろうとしているその途中」を目にしたことを表します。

I heard my name called.(私は自分の名が呼ばれるのを耳にした)
⇒目的語が「する立場」なら、補語は原形か~ingだが、「される立場」なら補語には過去分詞。「私の名」は人によって「呼ばれる」立場。

さて、大体の感じがつかめたところで、問題です。

I smelled something [burn/burning].(何かが焦げる匂いがした)

これはburnとburningのどちらが自然でしょうか?

「焦げ始めから焦げ終わりまでの一部始終」の匂いを嗅ぐのと、「焦げている最中」の匂いを嗅ぐのとでは、当然後者の方が自然ですね。

このような感覚がつかめれば、自身の直感で原形と~ingの選択を意識的にできるようになります。

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